CRY

Twitterには長いやつ

甲斐よしひろ ALTERNATIVE STAR SET ”GUTS”

1996年3月19日(火) 高松オリーブホール

 1時ごろ会場に着くと、すでに4人並んではった。先頭は男の人。続いて、高知でも 1番乗りやった女性。3番目は、ファン歴が長く、初めて見たライヴの1曲目が「黒い夏」 だったという北海道出身の女性。僕の前は和歌山から来た男性ファンで、前回ソロ後期の メンバーが好きだそうだ。 
 ど真ん中は無理でも、今日は生まれて初めて1列目で見られそうや。絶対近いぞ。 めっちゃ楽しみ!

 長らく待って、整理券をもらった。 
 お好み焼きが恋しくなり、「壱銭洋食」で「カントリーモダンスペシャル広島風」を食べる。 
 さらに、「エビスヤ」という和菓子屋さんで、抹茶と季節の和菓子セット。抹茶も きなこもちもうまかったあ。450円で大満足。 
 時間はまだあるから、一旦ホテルへ帰って用意をし、後は近くの美術館へでも行こう。 そう思ってホテルに戻ると、玄関に「広島東洋カープ御一行様」の貼り紙が。オープン戦に 来ていたのだ。これは絵なんか見てる場合じゃない。巨人ファンとしてミーハーな行動は 慎むべきところだが、やっぱり気になって、ロビーをうろうろしてみた。見ることができたのは、 シブい2人。川端コーチと高代コーチだ。選手はだれもいなかった。

 こんなことがあってもいいのだろうか。僕より整理番号の早い4人のうち、2人はやや 左寄りで見るのが好きという。あとの2人は自分でギターが弾けることもあり、ジョージの前 に行くとのこと。 
 で、結局、僕が1番前のど真ん中に立てるという事態になった!みんな、ほんまに ええのん?ついに、ついに念願がかなった!!!!10年以上ライヴに通ってて、 初めてや!! 
 ステージとの間には、パイプ椅子が並べてあるだけ。ほんまにこんなに近くで、 真っ正面で見れるんや。

 一光、髪をくくったメッケン、ジョージ、そして甲斐が現れる。普段以上に緊張する。 かたまってしまいそう。 
 目の前にいてるのに、甲斐はこっちの方を見ない。視線は後ろに通り抜けてる。 かつて「特に初めの3曲は、いちばん後ろの客にむけて歌う」と言っていたが、今でもそう なのだろう。 
 一瞬、甲斐がはっきりと俺を見た。おお、初めて見てくれたやんけ!と思った瞬間、 マイクスタンドが縦に廻った。「絶対・愛」や。何のことはない、甲斐はスタンドが1番前の 客に当たらないかどうか確かめただけだったのだ。それでも、どきっとしたなあ。

 あまりにも近くて、甲斐の顔を見てると体の動きがわからない。他のメンバーとなると、 完全に視界からはなれている。それもこの席だからこそ。かえって近さを実感する。もう、 感激しどおしや。 
 こんだけ近かったら汗が飛んで来るぞと思っていたら、歌ってる時のつばの方が 腕にかかった。

 「安奈」が終わったところで、甲斐が言う。 
 「ゾンビのように立っててもあれなんで・・・」 
 高知のときみたいに客をすわらせるつもりや。 
 「下コンクリート?冷たいの?」と聞いた後、「冷たい人ね」と言って、ジョージの反応を うかがう。ジョージは首を振る。甲斐は「くだけたネオンサイン」の言い方をしてみたのかな。 「レッドレッドシューター」に続く第2弾? 
 「ライヴハウス初めてなんで、仁義知らないんだ。普通、すわらせちゃいけないん だってね」 
 高知の後、関係者に言われたらしい。 
 「いいんだ。これは俺のステージだ。俺が法律だ」と言いつつ、「別に言う通りにしなく てもいいんだよ」 
 みんなどんどんすわっていく。僕はできることなら立っていたかった。けど、真ん中だけ が前から後ろまで立っているという変な状態になりかけたので、いくら何でもこれでは僕の 後ろになった人たちがかわいそうで、腰を下ろした。僕がすわると、僕の後方に残っていた 人たちもすっかりすわって、立っている客は1人もいなくなった。 
 甲斐は、「いいの?そんなに言いなりになって」

 「やせた女のブルース」「地下室のメロディー」と、ステージ前のイスに両腕を置き、 その上にあごをのせて、じ~っくりと見た。 
 続いて、「レッド シューター」 
 甲斐もギターを弾く。この曲のお披露目は高松となったわけだ。

 「いつまでもそんな姿勢でいるの?「テレフォン・・・」やろう!」で、みんな立つ。 
 ここからアンコールまで盛りあがりっ放し。これを1列目で体験できて幸せや。 
 「HERO」では、下の方だけストロボを使う新たなライティング。

 アンコールでよかったのが、「らせん階段」 
 甲斐がギターを弾き始めると、下から3本目、つまり甲斐の場合太い方から3つ目の 弦がいきなり、たわんだ。その弦の音が出せないばかりか、それが邪魔になってすごく弾き にくそう。完全に切ってしまおうと強くピックを当ててみても、そのままだ。 
 甲斐は切るのをあきらめ、ギターを鳴らす回数を減らしていった。偶然、ギター少なめ ヴァージョンの「らせん階段」を聴ける形になったのだ。これが格好よかった。甲斐の声を 堪能できた。2番のサビなんて、1小節に1音ずつ鳴らすだけやもん。 
 トラブルへの最高の対処でした。

 甲斐の顔を間近に見て、夢中で歌声を聴いているうちに、あっという間に時は過ぎて しまった。めっちゃ緊張したけど、やっぱり1列目ど真ん中は、いい!!

 今日知り合った甲斐ファンたちと飲みに行く。「瀬戸の味 岩久」というお店。 
 明日東京に帰るという人を、「せっかく四国まで来たのに」「初の2回公演やで」「曲目 変えるゆうてたし、絶対いいって」などと3人で引き留める。

 日付が変わる頃ホテルに戻ると、ホームラン王の江藤がいた。

 

1996年3月19日 高松オリーブホール

 

ダイナマイトが150屯 
絶対・愛 
きんぽうげ 
時の人 
風吹く街角 
スマイル 
嵐の季節 
安奈 
やせた女のブルース 
地下室のメロディー 
レッド シューター 
テレフォン ノイローゼ 
レディ イヴ 
風の中の火のように 
ポップコーンをほおばって 
漂泊者(アウトロー) 
HERO

 

らせん階段 
GUTS

 

破れたハートを売り物に