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甲斐よしひろ Welcome to the ”GUTS FOR LOVE” Tour

1996年2月26日(月) 福岡クロッシングホール

 ホテルは天神にとったが、クロッシングホールは中州川端にあった。歩いて会場へ。 
 ホール前で初対面の人から、「バナナホールにいたでしょう。前の真ん中。黄色い シャツ着て」と言われて、驚いた。

 クロッシングホールは、ホテルの地下であった。ロフトっぽいつくりで、雰囲気は新潟 フェイズに似てるかな。ステージが見える位置ではないが、左の方にはバーカウンターもある。 
 ステージは小さい。オールスタンディングの小さな会場やしなあ。ドラムとキーボードの 台がない。ふつうのライヴハウスよりもステージが狭いのでは。照明の感じもちがう。そして 何より、近い!僕の立っている位置はそんなに前じゃないけど、それでも近い。 
 客は一杯に入っていて、グッズもほとんど売り切れている。

 BGMとともにスモーク。登場の仕方もちがっていた。 
 「ダイナマイトが150屯」が始まった瞬間、客が一気にどっと動く。すごい勢い。全員 が甲斐の方向へ、できるだけ進もうとする。いきなりやった。後ろの方のやつが、何人か 僕の前に流入して来る。その人たちも押されてそうなったのだから、仕方がない。僕のすぐ 前に立つ形となった男の人が、「前行って、ごめんなさい」と言ってくる。「いいよ」と手を振り つつ、視線は甲斐からはなさない。 
 それにしても、ものすごい大合唱。すごく密接した、濃厚な空間。歌声もそろっていて、 めちゃめちゃ一体感がある。ライヴハウスの魅力を再認識した。なにしろ近いのは、いい!! 
 しかも、曲が「ダイナマイトが150屯」「絶対・愛」と続くねんから、そら大騒ぎになる っちゅうねん!客が燃えてるから、甲斐もすこぶる機嫌よく、うれしそうや。 
 「きんぽうげ」のイントロに、またまた大歓声。もうめちゃくちゃな盛りあがり。比べる ものではないが、この激しさは、Welcome to the ”GUTS FOR LOVE” Tourで 1番やったと感じる。 
 甲斐も勢いにのって、メロディーよりもノリを重視した感じ。FIVEふうに、突き放した 歌い方。 
 MCがなくて、4曲目も激しい曲やったら、ケガ人が出たかもしれない、と考えてしまう ぐらいの騒ぎやった。

 「新曲を・・・」のひとことにも、大きな反応。 
 今までの赤いライトから変わって、紫のバックにメンバーの影が映し出される。 
 「時の人」 
 みんな大きな声でコーラスし、歌っていたのが、ラップに入った瞬間、ぴたっとやんだ。 全員が息をのんで、フラッシュの中の甲斐に見入っている。身動きもしない。 
 サビからは、またみんなノリだす。これは福岡独特やった。 
 後奏。一光のプレイが激しくなる。思わず目が吸い寄せられる。ズダズダズダズダ、 ズドーン!ズドーン!と強く叩いた刹那、両手を伸ばしてシンバルをおさえた。一転して 静かな音楽。甲斐がマイクスタンドに向かう。 
 「ブラッド・ピット タランティーノ マイケル・ジョーダン 野茂 H Jungle with t  桜井・・・」 
 など、今日はいちばんはっきり名前が聞こえた。

 イントロで大歓声。 
 「風吹く街角」 
 ステージが狭く、距離が近いことと、バナナホールでいなかったからだろう。今夜は やけに、ドラムス、キーボード、ベースの3人が目につく。 
 後奏が高まって行く。一光が汗だくになって連打。甲斐と視線を交わし、フィニッシュ!

 「スマイル」を静かに聴いてから、「ポップコーンをほおばって」でまた盛りあがり。 
 サビの繰り返し。甲斐は最後にセンターマイクに戻って、吼えた。

 「観覧車’82」 
 一光のドラムから。印象深いベースラインが続く。さあ、ここでキーボード!と思うが、 あまり音がわきあがって来ない。アクシデントか。河野選手は右手のみで演奏、左手で あちこちさぐっている。 
 ジョージがちらっとだけ振り返った。キーボードが効いてない分、ギターがよく聴こえる。 
 しかし、甲斐といっしょに大声で歌っているうちに、キーボードのことは意識から消えて 行った。そして、なぜだかわからないが、「俺はお前を抱きしめ 二度と離さないと かたく  心に決めた」という詞が、すっと心に入って来た。もとから好きな部分ではあったが、今日 は格別心に沁みた。

 「安奈」も印象的やった。 
 いつもより大きいハーモニカの音と、大合唱の歌声が、かたい床に、壁に、天井に こだまする。このホールならではの雰囲気。

 大阪から福岡まで、10日ほどあった。その間に収録があったらしい。MCは、MUSIC  FAIRの話が中心やった。終わったからか、GUY BANDの話題はなし。 
 「福岡ということをほとんど忘れて言ってますが」というほどの毒舌やった。

 アコースティック。 
 「バス通り」を求める声に、「福岡ドームで、世界に先駆けてやったんだから。君らは もういいの」 
 譜面台が出ていたが、「楽譜とちがうのをやる」と「テレフォン ノイローゼ」。 
 今日はノリがいいから、やりたくなったんちゃうかなあ。

 「どんどんうたいたい気が盛りあがって来てる」 
 「メタモルフォーゼ」

 メンバー紹介では、死角になるお客さんがいて「見えないんだから」と、一光を中央前 へ呼び出した。 
 ミニドラムセットが出て来ない。「破れたハートを売り物に」の後に運び出すのか? 
 「破れたハートを売り物に」も、今日は力強い。 
 「あの雲を・・・」のところも、きつく弾く。

 「ロックンロールをやりましょう」とは言わない。 
 「2月28日にシングルになるやつを。ダウンタウン関係の曲」 
 「レディ イヴ」 
 イントロの手拍子は、けっこうみんなやっていた。 
 「マイ マイ マイ」は、今日はなし。セットが出せないほどステージ上が狭いのかも しれない。その分、アコースティックを1曲多くやってくれたのか。

 「嵐の季節」 
 ドラムはほんとに小さい音にし、完全に客の声だけになる。これがまた大きいのだ。 
 オールスタンディングなので、鞄を手に持ってて、拳をあげられない人もいた。

 「風の中の火のように」 
 1番から大合唱。先々週のバナナホールを思い出して、燃える。

 甲斐が袖のボタンを外す。スモークがたかれる。 
 「翼あるもの」 
 ラスト、いつものポーズに行く前にマイクスタンドを廻したのが、よかった!

 シャツを頭から抜く。 
 「漂泊者(アウトロー)」 
 小さく濃密な空間での、激しい「漂泊者(アウトロー)」。これがめちゃめちゃよかった!!! 
 ROCKUMENTではずっとブルースっぽい演奏やったけど、狭いとこで敢えてこの ヴァージョン。客と客の間が大きいふつうのホールよりも、盛りあがり感がすごい。 
 最高!Welcome to the ”GUTS FOR LOVE” Tourを通じて最も印象に 残った曲を挙げろ、と無茶なことを言われたとしたら、福岡の「漂泊者(アウトロー)」だと 答えてもいい。

 あまりに暑いのか。「HERO」では、甲斐は黒のTシャツを胸までめくり上げていた。

 長いアンコール。 
 「GUTS」 
 「勝つこと、信じろおーっ!」は、いっしょに歌ってほしそう。 
 2回とも低く「ガーッツ!」。

 ごく短いアンコール。 
 甲斐コールが始まりかけてすぐに、ライトがついた。

 「港からやって来た女」 
 イントロから、会場じゅうが跳びはねる。 
 間奏。キーボードのソロから、ドラムスとギター。そして、メッケンへ。「メッケン、 Come on!」と言って、甲斐が手で「前へ!」と示す。 
 すると、何と、あのメッケンが、2・3歩前へ動いたのだ!すごい!この事実だけを もってしても、今日のノリがいかによかったか、わかってもらえるだろう。

 メンバーが立ち去っても、みんなとまったまま。手拍子をするわけでもない。けれども、 誰一人としてその場を動こうとしない。 
 終わりのアナウンスが入ると、拍手の嵐!感動のエンディングやった。みんな満足 しきっている。 
 今日はとにかく大合唱。狭い所での一体感。 
 音もよかった。大音量やのに、きれいで、ひとつひとつの楽器の音が聴きとれた。 
 本当に充実した時間やった。最高。

 出口に向かうため、みんなが振り返る。後方の上部にブースがある。天井にひっついて 浮いてる形。 
 そこに、甲斐のお母さんがいてはった。隣にいるのは、お父さんか?制服姿の男の 子、女の子もいる。お兄さんのお子さんなんかな。 
 みんなが、そっちに向かって手を振ったり、拍手をしたりする。お母さんは、感激して 泣いておられるようだ。白いハンカチを手に、何度も頭を下げてくださった。

 

1996年2月26日 クロッシングホール

 

ダイナマイトが150屯 
絶対・愛 
きんぽうげ 
時の人 
風吹く街角 
スマイル 
ポップコーンをほおばって 
観覧車’82 
安奈 
テレフォン ノイローゼ 
メタモルフォーゼ 
破れたハートを売り物に 
レディ イヴ 
嵐の季節 
風の中の火のように 
翼あるもの 
漂泊者(アウトロー) 
HERO

 

GUTS

 

らせん階段 
港からやって来た女