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BBガールズの土曜パームトーン劇場(2020年1月12日)

BBガールズ今年最初のワンマンライブ。そして、KYOTO MUSEでの初のホールライブ前、最後のライブだ。

今年からカバー曲をなくし、毎月このライブで新曲を発表していくという。めちゃめちゃ楽しみ。今月の新曲はアニソンっぽいらしい。これまでのBBガールズにはないタイプの曲だという。MUSEへ向けた仕上げっぷりとともに大注目だ。

 

開演前に気づける大きな変化は、キーボードの楽譜立てそのものが最初からなかったこと。今日もカナさんの演奏をしっかり見ることができる。

 

年が改まっても、オープニングのBGMは「チャーリーズ・エンジェル」のテーマ。ここはまだ変えなくてもいいという判断みたい。確かにわくわくするインストだ。

続いてはもちろん、「Fai La Brava」。アルバム「ラ・ブラバ/LA BRAVA」の巻頭を飾るアカペラ。

それから観客の手拍子。すぐにカナさんが現れる。立ったまま、左手の指先を顔の方に倒した横向きのピース。同時に右手で最初のあのフレーズを奏でる。

たじさんは両手を上げ、左右に跳ねての登場だ。弓を引くような大きな動作で、カナさんと同じように顔の横に倒したピースで決めてから、歌へ。

「もっとオールドファッションド」

今年もこの曲が1曲目。少なくとも今月までは。ということは、MUSEでも1曲目なのか。いや、そう思わせておいて違う選択もあり得る。

今日のカナさんは派手な印象。高いポニーテール。でも、髪を束ねてるのは和むパンダのマスコット。衣装は銀河の半袖。紺に紫、そして星々が白く輝く。白のスカート。イヤリングも星形だ。

たじさんは逆に、下が銀河のスカート。上は白で、金色の円い模様がいくつか付いている。同じ金色をした丸い飾りのネックレスは、富山ライブの会場に出店していた「Garage CONTI」製かもしれない。もしかしたら、カナさんの小さなネックレスもそうなのかも。たじさんの左耳にときどきチラッと見えるのは、球形の太陽のイヤリングか。だとすると、右耳は月のイヤリングかもしれない。

たじさんの声が強い。つやつやもしてる。インフルエンザから完全回復だ。やった!

間奏で驚く。たじさんのスキャットが先月までと全然違っている。高い音から入って伸ばしていく。中盤も新しいメロディ。終盤は以前のスキャットをより高音で出している感じ。そこから声を震わせる。この大きな変化の理由は何か。もしかしたら、生バンドで行われるMUSEライブでこう歌われるからではないのか。すでにリハーサルは進んでいると聞く。バンドバージョンのアレンジに合わせての新しいスキャットなのでは。

たじさんの変化を受けてカナさんは音数を減らしているようだ。連打なしでのグリッサンドでサビへ。

あれ、カナさんが両肩を出している。登場時には全体を見逃すまいとして、かえって大きなポイントに気づかなかった。自分の鈍さにあきれる。

二人がアイコンタクト。「グッデイゾードファッショーーン」と声を伸ばすと、歌い終えたたじさんは再び横のピースを見せた。

 

「人生はミラーボール」

たじさんが「フーッ!」と声をあげ、右足を横にはねる。

長く「もっとオールドファッションド」が1曲目に固定されているから、実質今年の幕開けに選ばれたともとれる。1曲目にぴったりな曲だけど、めちゃめちゃ盛りあがるから、終盤のたたみ掛けにも使いたい。MUSEではどこに置かれるだろうか。

「Areyoulady?」で、カナさんは左手で、向かって左から右へ客席を指差していく。たじさんは左手をリズムに合わせてカナさんと同じ方へ動かし、「lady?」では手のひらを上に向ける。

「話題に事かーかないわ」 おお、ニューバージョンの譜割り! いつもは「い」も伸ばすのに、これはかなりレアだ。

2番の「Areyoulady?」では、カナさんの指差しが両手になる。内から外へ。先月から始まったこのモーション、定着してほしいな。たじさんは「lady?」でやはり手のひらを上にしてなめらかにまわす。

「あなた次第」を長く伸ばした声が実につややか。めっちゃいい。

たじさんが左手を頭の後ろに当て、マイクを客席へ。カナさんと観客が両手を上げて「BBガールズ!!」

「レインボー」を伸ばす声もスキャットも、全開だ。本当に力強い。こちらも力を込めたくて、僕は指を回さず手拍子を続ける。

たじさんは最後の音で両腕を上から曲線的に開き、「ありがとう」と微笑んだ。

 

 たじさんが左手をなぎ払って歌入り。

「それはウソじゃない!?」

強弱をつけて歌っていく。「声が聞きたくて悶えても」の「ても」は今月も強く。「Maybe I Love You」も強め。

サビに入ると横にステップ。前までは半身になって縦に踏み出す動きだったけど、この横の振り付けいいのでは。しぜんだし、行ったり来たり揺れる女心を暗示してるようにも受け取れるし、恋を認めたくなくて身をよじってる雰囲気もある。

最後の「Maybe I Love You」も強め。そこから吐息。

カナさんの指が跳ねる後奏。たじさんは左手で弧を描いた。

 

「みなさん、あけましておめでとうございまーーす」

「リニューアル バージョン ドヨパです。ニチパやけど」

「たくさん来ていただいて、ありがとうございまーす。うれしいですね」

「一週間ぐらい寝込んでたからさ、まだ正月な感じがする」

インフルから「復活。大復活。もうあり余っとるねん」

「またみんなの元気な顔が見れてね、今日はうれしいですね」

「多分みんなはたじちゃんの元気な顔が見れてうれしいと思うよ」

笑顔でピョンピョン跳ねるたじさん。

「田嶋は元気になりました。みなさん、ご心配おかけいたしました」

「ありがとうございます。今日もたくさん歌っていきたいなと思います」

 

話し終えたたじさんがおじぎをする。

「離れてもそばにいて」

照明は街灯のようなオレンジ。そのせいか、今日はたじさんが部屋の出窓から夜の通りを見下ろしながらうたっているイメージが浮かぶ。

その後、彼氏に直接甘えながら語りかけている雰囲気に。

カナさんの間奏はいつもより高い音域から始まり、中盤も今日だけの感触。また新しいバージョンが聴けた。ソロの終わりは、3番の歌入りを甘く告げるタッチ。

 

大きな手拍子。

クランベリージャム」

先月は最後にたじさんの回転がなかったので、もしかしたらもう回らないのかもと思っていたが、1番から回ってくれた。「フーッ!」

2番の大きな楽しみ。カナさんの指が跳ねる。音が弾む。たじさんは「朝が来て醒めてしまうもの」の後に「イェエーエー」と歌う。これはめずらしいのでは。だいたい「アアーアー」と歌っている気がする。

たじさんは2番でも繰り返しでも回ってくれた。ああ、なんて楽しい曲なんだ。

 

リズム、手拍子。たじさんのスキャット。カナさんの三連打。

「ひらいたトランプ」

アンコールでやるかと思ってた。fm GIG アカデミー賞の歌唱賞にノミネートされている曲で、最優秀歌唱賞はネット投票で決まるから、そのシステムの説明に時間をかけるかなと。

あれ、1番の後でもカナさんが間奏を変えているかも。あの三連の音は、曲の前半ではほぼ低音域で繰り返されるのがライブバージョンの定石だ。それが早くも高い音を使っている。今日だけのソロがここでも聴けるとは。

カナさんのコーラスが入る「ゆるがない男なら」で、二人が視線を交わし、笑顔になる。

2番の後の間奏。特に素晴らしかった先月を経て、さらに注目されるようになったカナさんのソロだ。入るところからまたかっこよくてオシャレで、一瞬間を置いてタイミングを変えるところがとても印象強い。さらに右指の見事な運び。先月封印した連打が、原曲と別の音で復活。三連打は鍵盤の真ん中高め、オリジナルよりは少し低い位置で。やった! 今月もすごい!

3番の最後でたじさんが声を張る。その後ろでカナさんのコーラスも絶妙に聴こえている。たじさんが再び強く張った声が伸びる。そのまま途切れさせずにスキャットへ移る。深い声。こんなに豊かなのに悲しみも感じさせる。身をよじるような。それから高音も聴かせていく。

ボーカルに聴き入っていたら、カナさんの三連打が帰ってきてはじけた。

 

ここでMCが入る。

26日のfm GIG アカデミー賞 授賞式のこと。

「ひらいたトランプ」の歌唱賞について。

 

「前半戦あと2曲お聴きください」

たじさんの言葉に添えたカナさんのピアノから、「泡のないグラス」

何だか、ピアノと声とメロディを感じるだけでも泣けてくる。そこに最も悲痛な歌詞が乗るのだからたまらない。

たじさんは絶唱しているわけではないが、こちらまで悲しみにつつまれていく。

おしまいのパートをうたうたじさん。高い声を悲しさでかすらせる。ふたたび透きとおった高音が、低くグラスの底へ沈んでゆく。たじさんはわずかに声を震わせた。

 

来るぞ。去年のカバー曲は、8月から前半最後に歌われていた。そこに新曲がとって代わるはず。

果たして、カナさんのピアノは、BBガールズが発表してきたどの曲とも違う調べを奏で出す。きれいなメロディ。そして、気高くも勇ましい。確かにアニメのオープニングっぽい気がする。

ビートが加わる。一気に勇壮さが何倍にも増す。わあ、アニソンっぽさもさらにさらに加速してる。めっちゃキャッチー。

たじさんが届ける歌詞は、格調高く美しい和語を散りばめている。

前半からカナさんのコーラスが入る。

サビでもカナさんのコーラス。たじさんはあくまでもかっこよく歌っていく。視線は空の彼方を見据えるように上げていく。

あのキャッチーな前奏が間奏となる。

二番では自然を示す言葉が次々と。森。岡。暗い海。緑の風。ナウシカが胸に浮かぶ。

神々という詞もあって、空を歌いもするから、千と千尋のハクもまた浮かぶ。

二度目の間奏は、あの前奏からさらに展開する。カナさんの指の動きも速く激しく高まる。

サビ前から戻ってくるたじさんの歌ももっと強くなる。

詞の最後の一行を歌う時、音が再びカナさんのピアノだけになる。きれいなメロディが続いていく。たじさんは掲げた左手をゆっくりと下していく。曲の世界に希望を見出したように、平和を確信したように、かすかに微笑んでいる。カナさんのピアノも歩みを緩めた。

最後は静かに終わったこの新曲、題を「天界の雫」という。

歌詞は、自然や生き物を見守るようで、ジブリが好きで自然や動物を愛するたじさんの好みに合っているのかなと想像する。もしかしたら、たじさんのそういう面を念頭に置いて書かれたのだろうか。

かっこよくて、想像以上にアニソンっぽいアレンジだった。確かに、これまでのBBガールズになかったタイプの曲だ。また、「泡のないグラス」の後を任せられるというのも秘かにすごいのではないだろうか。

 

二人が深々と御辞儀をする。いつものインストが流れ、一旦BBガールズが舞台を下りる。

郷愁を誘うこの曲は何なのか。これも映画音楽なのか。ずっと気になっていて、先月やっと冴沢プロデューサーに聞くことができた。答は、映画「明日に向って撃て!」のサントラに入っている曲だった。まさか。「HERE WE COME THE 4 SOUNDS」、「暴力脱獄」、「スティング」とならんで僕の生涯ベスト4に入る大好きな映画だ。いちばん好きな俳優ポール・ニューマンの主演作。大好きで何度か見てるのに、この曲は記憶にない。また見直してみよう。

 

カナさんがキーボードに戻ってくる。拍手で迎えたいところだった。最後は静かに終わったとはいえ、「天界の雫」はアップテンポな曲だったから、「カナーっ!」「たじーっ!」って、オープニングみたいに声援をおくりたかった。でも、「明日に向って撃て!」のインストでしみじみした後では、会場はそういう雰囲気ではなかった。控えめに小さく拍手するのが精一杯だ。たじさんもセンターへ。

 

そんなムードを、明るい前奏とたじさんの笑顔が一変させる。

「恋してオムレツ」

キュートな歌声。束ねた髪を右肩におろしたカナさんの「シュビドゥビ シュビドゥバ」。どんどん楽しさが層をなしていく。

さらに、たじさんの振り付けも好きだ。ボックス。卵を表す大きな半円。そして、肘を横に2回入れる動き。

カナさんの「ワー」は2か月ぶりの特大バージョン。

そして、間奏の肘を利かせて腕を振る動き。

2番の「ンー」もかなりいい感じ。

次の間奏は、短いMCみたいにたじさんの言葉があるのが恒例だ。

「2部ー、ということで」

話し始めたたじさんの衣装は、白い長袖のブラウス。細かく折れて少し立った襟元が特徴的。真ん中にあの丸いペンダント。カナさんも同様のブラウス。下はたじさんが赤、カナさんが青のスカート。どちらも四角いグレーの部分がある。ということは……

「登場しました、『ラ・ブラバ/LA BRAVA』衣装ー、懐かしい~」

2月9日(日)の京都ミューズホールライブのタイトルは、「BBガールズ with はんなりディスコボールシャワー ~Live Show 2020 ”LA BRAVA”」。だから、この晴れ舞台では、アルバム「ラ・ブラバ/LA BRAVA」の衣装で出る可能性もあるかもと思っていた。が、これでおそらくなくなった。ひとつ前のライブでこの衣装を見せたのなら、ミューズホールはきっと新衣装だ。もちろん、どんな衣装でも、新衣装でなくても、完全に楽しみます。

「心機一転、今日もがんばっていきますので、最後までお楽しみくださーーい」

3番の「イェイ」は高いダブルピース。「ワー」が大きかった時点で、今日は派手な方を行くのだ。

「優しくー 包んでー」手を腰に当てて、振り返るように体をひねるたじさん。カナさんも角度を合わせる。

歌も振り付けもコーラスも演奏も効果音もちょっとした仕草も、全部が楽しい。

たじさんがキーボードに近づく。たじさんが右手を、カナさんが左手を、斜めに上げて、「恋してオムレツ」のできあがり。

 

赤色。笑みを浮かべたたじさんが揺れる。たじさんが左手を動かすと、カナさんの最初の高い音が鳴る。そのあたりから、たじさんの表情が曲の世界に入っていく。

「苦い林檎酒」

カナさんの間奏が本当にどんどん楽しみになってきてる。楽譜がなくて両手の動きが見えるのは、すごくすごくいい。全然感じ方が違う。今日はひときわ高い音を使ったかと思うと、そこから音の虹を描くように下がっていく。実に素晴らしい。

そのうえ、誰もを惹きつけるたじさんのスキャットだ。美しいうえに情感が伝わって、のびやかで。

BBガールズの空気に染めあげることのできる曲。ミューズホールでは3曲目あたりに歌われるのか。オープニングにアップテンポ寄りの曲を集めて、4曲目ぐらい? 後半にとっておく手もあるけれど、序盤に二人の魅力を見せつけるために使う気がする。

 

MC。

新曲「天界の雫」

たじさんが予告していた通り、アニソンっぽい。リハーサルしながら「ここで主人公出てきて」とかイメージして。

神目線の歌らしい。

「これから、新曲なんで、またやるにつれ、いろいろ変わっていく曲になっていくので、楽しみ」

「今年のドヨパはリニューアル。カバー曲じゃなくて、新曲が毎月追加になっていく」

 

2月9日(日)のKYOTO MUSEでのワンマンまで、「もう1か月切ったんですよ」

バンド「はんなりディスコボールシャワー」がアレンジを練っている。

「すごいほんまに楽しいよね、スタジオね。ニヤニヤします。みんなすごいスキルが高いので」

「私たちももう追い込みに入ってますが、みなさんはもっと期待を高めていただいて」

カナさんがこう言うからには、相当自信があるはず。バンドでの仕上がりがすごいのだな。もちろんめちゃくちゃ期待している。

 

fm GIGアカデミー賞

「賞ほしいね。生放送部門、欲しいよな」

「うちらも毎年ええ感じにドレスアップ」

昔のBBガールズの衣装をミシンでリメイクしたい。

 

MCのしめくくりに合わせて即興っぽくピアノを奏でていたカナさんが、間をおいてから、あの3つの音と滴がそっとはねるような4つめの音を弾く。

「透明な水」

ピアノだけの演奏だ。今日のスペシャルだな。淡路島のアップライトピアノも素晴らしかったし。

区切りまでうたったたじさんが次の歌詞に移る前に、カナさんが高音を添える。

たじさんはふいに声を弱めたり、いつもより少し長く伸ばしたり、語尾を響かせたり。強めた声は光沢を感じさせるほどに。小さくして短く切る。やや吐息まじりに。そのたびに引き込まれていく。

「あなたの鼓動にも」でピアノをとめるカナさん。会場に残るのは、たじさんがゆっくりめにうたう「届くのに」だけ。1番から劇的だ。そこへ前奏のフレーズが寄せてくる。

2番のサビはテンポを緩めることなく、繰り返しに向けて高まっていく。

最高潮から「あなたをこんなにも」を次第にゆっくりにして、最後の音を伸ばす。カナさんの品位のあるピアノ。再びたじさんの声だけの世界が訪れる。「愛してる」も最後を長く伸ばす。カナさんのあのフレーズが入る。それでもまだたじさんの声が伸びる。この余韻。見事な着地。今度はカナさんのピアノだけの世界になる。カナさんの右手が水の中をさらに右へと渡っていった。

 

「夜明けの月に」

僕にとっては去年を代表する曲。

ボーカルの優しさ。ハーモニーの優しさ。今日もまた強く感じる。

歌詞も演奏も、どこを聴いても思う。これは希望の歌だ。

しかも、今日はそれ以上に、BBガールズが希望を伝えてくれる存在に見えた。聴こえた。そんなふうに感じさせるなんて、どんなにすごいアーティストなんだ。

今年もまた、「夜明けの月に」をたくさん聴きたいな。

 

たじさんが1歩前へ出る。肩幅より広く足を開く。左手を上げる。

「風のファンタジスタ

応援歌だ。手を打ち、サビでは右手の拳を上げながら、左手でも拳を握り締めて聴いていく。

強く豊かなたじさんの声。その歌を高く低く縁取るカナさんのコーラス。

クライマックスへ、たじさんの声がさらに強くなる。豊かに響く。強く豊かなままどこまでも伸びていく。最後は「アアーー」にたどり着く。

たじさんが左手をかかげる。僕もしばらく右手を上げてから叫んだ。「たじーっ!」

 

「まだまだ行くぜいっ」というたじさんの煽り。

ギターが鳴り響く。カナさんが高音を連打。あれ、その後右手がオシャレに弾んだぞ。今日はもう前奏からスペシャルバージョンだ。

「平成ガール」

こうなるとたじさんの歌の裏でちょっとした隙間を飾るような音にもわくわくする。もちろんたじさんの歌はしっかり届いてくる。その魅力がカナさんのプレイでさらに際立つ感じ。これって理想的な二人じゃないか。

間奏も今日のオリジナルっぽい。いいぞいいぞ。ギターが目立つところでも華麗かつロックなキーボード。

平成を彩る三つのコーラスも手ごたえ確かだ。

「ウォーイェーーーーーアアアアーアーーー」

たじさんもシャウトを変えている! ここはいつも、「オーイェー」だけを伸ばしているところ。後半が完全に変わっている。

「ウォーイェーーーーーアアアアーアーーー」

続けてもう1回。「もっとオールドファッションド」のスキャットも変わっていたし、これはやはりミューズホールのバンドバージョンに合わせてのことではないのか。

いつも違ってすごい後奏。今日はひたすら両手で連打。それから右手が高くずれていく。アバンギャルドという言葉が浮かぶ。ここの演奏の元っぽいのを淡路島ライブで見たときもそうだった。

「カナーっ!」

カナさんは左手でピースした後、オープニングで見せたように横ピース。たじさんも同じ横ピースを引く。

 

笑顔の二人にイントロが降ってくる。手拍子する二人。もちろん客席も。

「ガーディアン・エンジェル」

このところはかり知れない進化を続けている曲。今日も熱く燃えあがる。二人のハーモニーもたっぷり堪能できる。

たじさんがカナさんの方へ両手を揺らすと、カナさんのキーボードが鳴る。それがソロに入る合図だ。ここの間奏でも、またもやカナさんが今日だけしか聴けない音を繰り出す。オシャレでかっこよくてわくわくする演奏。一体今日何曲目なんだ。ソロの度に毎回すごい。声援を受けたカナさんは、右手のグリッサンドとともに左手で横ピースして笑う。

たじさんは最後の「ガーディアンエンジェーーール」から「アアー」へとひらりと移行。今日は手を動かさず、曲が果てるとともに首を上向けた。

 

カナさんをまねて両手でカウント。たじさんが右足を外に跳ね、広げた左の手のひらを見せるように上げ、「フーッ!」

「ラストの曲になりました。最大限盛りあがってください! 『まだまだGIRLでいいかしら』」

歌うたじさんの語尾がことごとく素敵だ。深く響かせる。弱く引く。強く張る。キュートにきらめかせる。

1番のサビ終わりは、左手の人差し指を上に向けて「フーッ!」

2番に入ってまだ増える語尾のバリエーション。ささやく。遠くへ放り投げる。

3度目の「フーッ!」は、左手の人差し指と同時に、右足を後ろに上げる。

サビの繰り返し。「歌っていいかしら」を高く上げながら、たじさんは首元に左手を添える。これは貴重なポーズ。めっちゃいい。

後奏のスキャットがこの上なくパワフルだ。やがてたじさんは両手を広げる。マイクは右手に持ったまま。肉声を会場中に撃ち込む。

カナさんのグリッサンドに合わせて、たじさんが跳ぶ。ステージに下りると同時に最後の音。

「ありがとうー」とたじさんが手を上げる。「たじーっ!」「カナーっ!」

拍手をしながら二人が去っていった。

 

戻ってきた二人に声援が飛ぶ。

「アンコールありがとうございまーす」

 

ここでMC。

2月9日(日)京都ミューズホールライブについて。

 

「2月の9日、がんばって用意してますので、大きな所で、初めてのホール……ホールっていうのがいいよね。あそこライブハウスって言いたくないねん。あえてホールって言いたいねん。ホールワンマンがバンドでありますので」

 

「本当にあたしたちも楽しみだし、みんなにも楽しみに思っててほしいし。あのう、何だろう、がんばって『来てほしいです』っていうのを、普段あたしたちの音楽を知らない人にもアピールをしている中で、『なんでこんなにがんばってるんかな』ってちょっと思ったんやけど、やっぱりその日ごろ応援してくれている、ね、熱烈に応援してくれてるみなさんに、やっぱり恩返しってこのタイミングしかなくて、結局歌でしか返せないってなったときに、別にあたしらのこと『全然興味もないよ』みたいな人にも声かけてでも『一杯にしたいなあ』って思うのは、『これからがんばっていくぞ』っていう気持ちももちろんあるし、やっぱりその満員の中でBBガールズがやってる姿を『ファンのみなさんに見てほしいなあ』っていうのがすごくあるなあと思いながら。

最後までがんばるので、みなさんもよかったら、お友達連れて来てくれたりとか、『こんなんあるねんけど』ちょっと興味ありそうな人とかに声かけてくれたらうれしいなあっていうふうには思います」

カナさんがきれいな音を奏でるなか、話すたじさんの目がうるんでいる。

こちらも感動でうるうるきてしまう。そんなふうに思ってくれていたとは。ファンのために満員に。自分の好みの音楽を届けてくれる好きなアーティストが、こんなにも、ライブを見に来る者のことを思いやってくれるなんて。これまでも何度も思ったけれど、僕はBBガールズのファンで幸せです。最高だ。

BBガールズはMCでもラジオでもジョークに向かう傾向があるけど、たまに聴かせてくれるこういう真剣なMCが、僕は大好きだ。本当に誠実で素敵なお二人だと思う。

 

たじさんがやさしい声のまま告げる。

「アンコールありがとうございます。あと2曲おつきあいください。 聴いてください。『陽だまりの…鳥』」

たじさんがおじぎをする。カナさんがピアノの調べを一度終わらせ、すぐに「陽だまりの鳥」の前奏を弾き始める。ほんの少しずつ高まるみたいに。とてもていねいに。

絹のようなたじさんの声。そこに淋しさと悲しさ、弱っている感じが混じり、次第にその色を濃くしていく。傷ついた姿。カナさんのコーラスがやさしくも痛々しい影となって寄り添う。

真摯なMCからのバラードに、泣けて泣けて。

たじさんのうるんだ目は、陽だまりの鳥が紛れてゆく空を見上げる。

カナさんのピアノが緊迫感と劇的さをつれてくる。

たじさんの声は強まるが、悲しみは失われない。弱まったかと思えても、強さも残っている。泣くような声。ただ、絶望に暮れているわけではない。一段階だけ高く澄み上がってから、たじさんの歌が消えた。

 

たじさんが深いおじぎから体を起こす。

「新年1発目の土曜パームトーン劇場。今日は日曜ですが。来ていただきまして、みなさんどうもありがとうございます。今年も羽ばたいていけるようにがんばっていきますので、応援よろしくお願い致しまーーす」

両手を合わせてマイクを包み、もう1度おじぎ。

たじさんに笑顔が戻る。弾むような大きめのステップ。前奏の音を口ずさむ。

「境界線はいらない」

たじさんが右手を振る。客席ではBBガールズタオルが揺れる。

「ラララ ラララ」

会場がひとつの音に集っていく。

後奏。今日最後のスキャットはのびやかにつややかに。

たじさんがリズムに合わせて左右に跳ねる。

「みなさんありがとうございましたーーー」と伸ばした右手を振る。

カナさんの最後の連打。たじさんがちょっとだけ跳んで両手を上げた。

 

「たじーっ!」の声に手を振って応える。

カナさんはおじぎした後、「カナーっ!」の声に横ピース。

両手を振り、投げキッスしていたたじさんが、カナさんを見て右手で横ピース。同時にカナさんも左手で横ピース。ステージの端でおじぎしてから、BBガールズが去っていった。

 

MUSEライブ前、最後のパームトーン劇場が終わった。

もはや何も心配はいらない。全ての曲が進化した。毎月続けてきた経験で、BBガールズはより強く素敵にかっこよくなった。課題曲を乗りこなしてきたことで、音楽の技術もさらに磨かれたはず。舞台捌きも見事なものだ。そういった裏打ちがあるから、メンタルだって何重にも守られている。

たとえ何かアクシデントがあったとしても、客席にはファンがいる。どんなことでも全部受けとめて、絶対に楽しめる自信がある。完全に大丈夫。

次にライブで「境界線はいらない」を聴くときは、MUSEのエンディングだ。みんな晴れやかな顔で歌い、演奏し、タオルを振って、「ラララ ラララ」と声を合わせていることだろう。何人か泣いているかもね。

それじゃあ、2月9日日曜日、京都ミューズホールで会いましょう。

 

  ライブのアーカイブ映像はこちらです。

freshlive.tv

1月12日 event space PALMTONE

もっとオールドファッションド

人生はミラーボール

それはウソじゃない!?

離れてもそばにいて

クランベリージャム

ひらいたトランプ

泡のないグラス

天界の雫

恋してオムレツ

苦い林檎酒

透明な水

夜明けの月に

風のファンタジスタ

平成ガール

ガーディアン・エンジェル

まだまだGIRLでいいかしら

 

陽だまりの鳥

境界線はいらない

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毎月ものすごく楽しみにしていた秘蔵音源CDとイラスト入りポストカードの入場特典がなくなったのは惜しいが、いそがしいお二人の負担が軽くなるなら、歓迎すべきことだ。

それに、CDに入れるべき曲がないのだな。新曲が入るのは、今年末にリリース予定だというBBガールズ2枚目のアルバムになるはずだから。

こういうふうに毎月新曲が増えていくなんて、おまけにそうやってアルバムができていく過程を一年間体感できるなんて、とてもとても楽しみ!

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