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Twitterには長いやつ

BBガールズの土曜パームトーン劇場(2019年11月9日)

BBガールズの登場前から手拍子するのがすっかり定着している。

まずカナさんが現れる。今月はピースをしながらの最初のフレーズだ。藍色のワンピース。 厚木で初めて披露された、「風のファンタジスタ」で受賞した「fm GIG アカデミー賞 最優秀歌唱賞」の賞金で得た衣装。星形のイヤリングも見える。

手を打ちながらたじさんが登場。1度真ん中近くまで姿を見せてから、左手へマイクを取りにいく。カナさんと近い色のワンピースに、沖縄のミンサーっぽい飾りの白いラインが、真ん中に縦にと、袖口にも入っている。その下に長めの白いスカート。前はなかったと思う。ライブ中の動きの関係だろうか。

「もっとオールドファッションド」

最初から拳の振り付け。

今日はたじさんのスキャットが印象的だ。それでもまだあえて抑え気味にしているように思える。

スキャットに続いてカナさんのソロ。両手で高音を連打。からの美しいグリッサンドは、虹のような余韻を描く。

今日会場に来て最初に気づいたのが、キーボードの前にピンクのファイルがないことだった。ステージの右端に譜面台が置いてあり、そのせいかキーボードはいつもより左、ステージの中央に寄っている気がする。

そのおかげで、カナさんの両手の動きが全部見える。これはめちゃめちゃうれしい。見事な指の運びを見ながら、生み出される音色を聴くのは格別だ。

最後のサビの繰り返し。たじさんが1か所高く歌うのも好き。

 

「それはウソじゃない!?」

先月アンコールで歌われたし、今日こそ終盤で聴けるかと思ったが、早くも来た。

振り付けが変わってる。サビで半身になったたじさんは、リズムに合わせて体を振るが、足の位置は動かさない。先月までは前にステップしてたし、1回のサビの前半と後半で体の向きを変えていた。

今日の動きはしぜんに見える。きっちり決めてなくて、曲に乗って自由に動いている感じがいい。その中でカナさんがたじさんと角度を合わせてくれるのもうれしい。

もちろん、また戻すとか新しい振り付けにするとなったら、それを楽しむ。

 

最初の挨拶。たじさんが「ホールみたいなエコーがかかっている」と言うと、心なしかさらにエコーが強くなったようで、「この後も盛りあがっていきましょう」という声が響く。

おじぎをしたたじさん。曲が鳴って体を起こし、顔を上げるともう赤い世界に入っている。

たじさんが左手を緩く払うと、カナさんの最初の音がひとつ。

「苦い林檎酒」

間奏のスキャット。カナさんは左手は動かさず右手で弾いている。「キーボード、カナ」の紹介あたりから両手で奏でていく。ここの指の動きが見れるのもいい。いろいろ事情があるのでしょうが、これを隠すのはもったいないと思う。

背中を向けて腰のあたりに左手を置いていたたじさんが、前に戻ってくる。「白い壁にもたれ」で、カナさんの右手が同じ形のまま4段階下りていく。

後奏のスキャットは澄んでいながらも深い。数あるたじさんのボーカルの魅力のひとつ。ライブの大きな聴きどころのひとつだ。

 

「泡のないグラス」

いつもより抑えたたじさんのうた。ところどころ悲しみを表現しながらも、声への感情の込め方を少なくしている。BBガールズのバラードの中でも特に悲しく、最も重いと言ってもいい「泡のないグラス」をこういうふうにうたうのは、初めて聴いた気がする。想いをたっぷり乗せたり声に力を入れたりするたじさんのうたも僕はものすごく好きなのに、今日の「泡のないグラス」は特に沁みてくる。抑制した歌声から悲しみがよく伝わってくる。カナさんのピアノもまた、控えめに寄り添っている。

サビの繰り返し。たじさんの声が強くなる。カナさんのピアノも劇的に高まる。たじさんの声はそれでも以前よりは抑えめか。けれどとても強く胸を突く。

しめくくりもささやくように。最後の低音までしぜんに連なっている。

気がつけば、飾り気のない素の明かりに浮かび上がっている二人。曲をこわさないように、完全に静かになってから拍手をする。

最高の「泡のないグラス」だった。

 

ビートが始まる。カナさんが音を奏でたじさんが動き出すと同時に、ステージに色が戻る。

「ひらいたトランプ」

手拍子をする曲。「泡のないグラス」からの切り換えもなめらかだ。

1番の後の間奏で、小さめのスキャット。ハミング。息の音。

2番の最後の「呼ぶのーーー」が、声を小さくしてるのに響いている。さすがたじさん。

それを受けてのカナさんのソロ。定番の高音の連打に行く前、今日だけのフレーズが特に素敵。しかも、リズムに乗った指の動きが全部見えるのだから、なおさら曲といっしょに心が弾む。

3番のサビ。強まるたじさんの声。カナさんの「ウーー」や「アーーアーーアーー」のコーラスで、さらに歌が引き立つ。

強く伸ばした歌声から後奏へ。たじさんのスキャット。その声に表情がある。それとともにどこまでも軽快に弾むカナさんのピアノ。この手の動きがこれまで見えなかったとはもったいない。たじさんのスキャットは最後までつやつや。なんて見事でおしゃれな曲。なんてかっこいいBBガールズ。

 

「たじーっ!」の声が飛び、たじさんの深々としたおじぎからMCに入る。

 

「BBガールズは9歳」と繰り返されていて、結成してそんなにたつの?と驚く。

お二人でラジオ「まだまだGIRLでいいかしら」をするようになったのが2012年。シングル「まだまだGIRLでいいかしら」でのCDデビューが2013年。どちらにしても、9歳でも9年目でもなくない?  他の数え方や別の起点があるのかもしれない。あるいは、そういうノリなのか。

 

お話からカバー曲に行く流れを感じる。

もちろん今月も、カバー曲予想をかなり考えた。

 

男性ニューミュージックシンガーのヒット曲で、歌詞は女性目線というのが、最初のヒント。

まず思いついたのが4曲。

松山千春「恋」

五十嵐浩晃「ディープ・パープル」

南こうせつ「夢一夜」

雅夢愛はかげろう

 

毎月2曲カバーしているけど、まだ今まで取り上げたことのない男性ニューミュージックアーティスト。うち1曲は大ヒットソング。

2曲は別のアーティストの曲。

両方ともニューミュージックの大物。

歌詞の中に季節を表す言葉はないが、曲調は秋っぽい。

1曲は諸々の関係でこの季節にヒットした。ザ・ベストテンにも入っていた。

 

さまざまなヒントを追加してもらった。

松山千春「恋」は1月の発売だったから落ちる。

でも、南こうせつ「夢一夜」はどの条件にも合っているのでは。調べてみたら、化粧品のCMソングで、秋から冬にかけてヒットしている。まだ生き残ってる。全く傷がない。もしかしたら当たっているのでは。

 

もう1曲は女性歌手にシングルとして提供した後、セルフカバーしてアルバムに入れた曲。

そこまで有名ではないが、ファンなら絶対知ってる。話題にはなっていた。いい曲を選んだと言ってもらえると思う。

 

「夢一夜」以外の曲を考える。

ニューミュージックの大物男性歌手という条件がしぼりやすそうだ。かたっぱしから検討していく。

 

吉田拓郎「やさしい悪魔」「メランコリー」は、キャンディーズ梓みちよでヒットしている。
風「22才の別れ」
因幡晃「わかって下さい」
アリス「帰らざる日々」
チャゲ&飛鳥「万里の河」
長渕剛巡恋歌
堀江淳「メモリー・グラス」
杉真理「バカンスはいつも雨(レイン)」
浜田省吾「あばずれセブンティーン」
徳永英明「レイニー・ブルー」
女性目線の曲だが、どれも他のヒントに合わない。

 

松山千春山下達郎井上陽水佐野元春村下孝蔵布施明坂本龍一忌野清志郎高橋幸宏細野晴臣矢沢永吉武田鉄矢

「恋」以外、女性目線の歌詞のヒット曲や提供曲が思い浮かばない。

甲斐バンドさだまさしオフコースは、BBガールズはすでにカバーしている。

 

「夢一夜」以外の候補が見つけられずにいた昨日の夜中、サザンオールスターズ「海」がジューシィ・フルーツのシングルになっていたことを知る。これだ! 「夢一夜」以上に当たっている可能性が高いかもしれない。

興奮したが、ジューシィ・フルーツの「海」はB面だったことがわかった。やったと思ったが外れだったか。

 

最終的に何とか4曲集めた。

南こうせつ「夢一夜」

安全地帯「碧い瞳のエリス」

サザンオールスターズ「シャボン」

小椋佳「泣かせて」

「シャボン」は長山洋子への提供曲。可能性はあるか。

「泣かせて」は研ナオコのイメージだから、ちょっと強引な予想かもしれない。

 

カナさんのピアノが始まる。この前奏は本当にそうなのでは。

「素肌に…片袖 通したーぁだけで」

「夢一夜」

たじさんはおおらかに伸ばしたり、唐突でなくしぜんに短く終えたり。どの語尾にも余韻がある。盛りあげる前のAメロで、僕はもう泣けてきた。もともと好きな歌だけど、泣けることはなかった。やはりこの声が好きだからなのだろうな。その歌声を守護する演奏も好き。

いちばん高い音も、力を入れずして無理なくきれいに出す。

「ああ夢一夜」でカナさんがハモる。

ゆっくりになる「一夜限りに咲く花のよう」では、カナさんは高音を3度鳴らすのみにとどめる。その間たじさんは、どんなふうに速さを緩めようと、間をあけようと詞をつなげようと自由だ。ここも素晴らしい。

BBガールズによる大好きなカバーが今月もまた増えた。

 

カナさんのピアノ。たじさんがうたい出す。

聴いたことがある。知っている曲だ。何のカバーだ?

いや、これは「枯葉」じゃないか! 「ハッピースマイルミュージック 秋のスペシャル」でBBガールズがカバーした、シャンソンの名曲。なぜもっと早く気づけなかったのか。聴き込み方が甘い証拠だ。僕はファンとしてまだまだだ。

でも、何よりも「枯葉」が聴けたことがうれしい! あのイベントは平日だったから見に行けなかったのだ。こうして生で聴ける機会を得られるとは。

悲しくうたうたじさん。心に力のないヒロイン自身がうたっているような声は、やさしくも聴こえる。声はほとんど張らない。それでいて、しっとりした中から悲しみが伝わってくる。

「暮ーれーゆーくー」から曲調が変わる。たじさんの後をカナさんが輪唱していく。高い方でコーラスするカナさん。いつか追いついて重なる二人。

たじさん一人で繰り返す。「いーろーーあーせーしーーーーーーーー」と伸ばした音の豊かな深みが、悲しさと秋の情景と人生の秋を語る。

カナさんのピアノがとまる。

「おーちーーばーーーーーーーーーーーー」

最後も伸ばしていく。声を強めずにおきながら、この雰囲気を生み出す。語尾に余情を残していくのがたまらなくいい。

歌詞は越路吹雪が歌った岩谷時子のもの。本当に聴けてよかった。

僕が生で聴けなかった、カバーや、BBガールズオリジナル曲のスペシャルバージョンも、たくさんライブに通っていたらいつか聴けるだろうか。

もちろん、リクエスト企画でもないかぎりは、お二人がやりたい曲を、または、さらに成長するために挑戦する曲をやってくれるのが一番だけれど。

 

「枯葉」に拍手を贈ろうと思うが、カナさんのピアノがとぎれない。次の曲に移っているようだ。そうか、いつもは童謡の演奏をはさんで2曲目のカバーに行くところを、今日は間に「枯葉」を入れたんだ。今月のカバーは構成が違うと聴いていたけど、こういうことだったのか。ライブの前半と後半に1曲ずつ分けるのかなとか思ってた。

彼の気持ちを理解できるがゆえに心変わりに気づいてしまった女性のバラード。

少し前まで愛されていると感じていた。あの時期のことも信じられなくなり、確かめたいと思うつらさ。

「もう一度だけ」という印象的な繰り返しが、少しずつ高まっていく。

知らない曲だったが、いい曲といいカバーに出会えた。

 

カナさんとたじさんが去り、ステージは青一色になる。

聴こえてくるのは、あのノスタルジックなインストだ。

 

カナさんが先に戻ってくる。拍手でお出迎え。カナさんは最初にキーボードの楽譜立てをもう取り去ってしまう。やった! これで楽譜立ての枠さえなしで、カナさんが演奏する手が見える。

たじさんも左からマイクを取って真ん中の前へ。これはあの曲だぞ。

「人生はミラーボール」

後半のオープニングでの「ガーディアン・エンジェル」は8月に使っているし、今月は「人生はミラーボール」かもとは思っていた。カバー曲にもよるところだけど。

衣装が変わってカナさんは白、たじさんは緑のワンピース。たくさん入っている柄は同じっぽい。カナさんは黄色の、たじさんはオレンジの、細い帯みたいに見えるベルトをしていて、前に長く垂らしている。6月のわくわく梅小路フェス初日にお披露目された衣装で、土曜パームトーン劇場で着られるのは初めてだ。

「Are you lady?」で、カナさんは先月と逆で右手を内から外へ動かし、客席を指差していく。たじさんの左手とクロスする形だ。

お二人とも楽しそうなのがとてもいい。見てるこちらもますますうれしく楽しくなっていく。

2番はたじさんお一人での「Are you lady?」。カナさんは両手で演奏中だ。

「あなた次第」を長く長く長く伸ばす。一度声を弱めてからまた強くしていく。その間声は途切れない。ずっとスムーズに続いている。「だーーい」の部分だけで大きく揺らしてうねりをつくり出す。聴いてて「おおっ!」って思うし、心地いい。毎回いろんな歌い方が聴けて、そのどれもが好きになる。

カナさんのソロが特に新鮮だ。いつも聴いてるあの音、こうやって弾いているのだなあ。さえぎる物がないのがつくづくうれしい。

「BBガールズ!」と客席が声を合わせ、人差し指を伸ばした両手を上げる。

後奏。たじさんが人差し指を立てた左手を回し続ける。これも客席がいっしょにやってもいいのかもしれない。手拍子したい気持ちもあるが、さて、今度からどうしよう。

 

「恋してオムレツ」

たじさんが体をひねる振り付けが定番に。カナさんも座りながら体をひねって向きを合わせる。歌に入ってからも、たじさんと同じステップだ。

1番のカナさん。「ワー」で両腕を伸ばし、最大の円を描く。いつもの何倍も大きくて驚く。笑顔になるカナさん。僕も笑ってしまう。今日も楽しい。BBガールズのライブは、激しく盛りあがれるし、感動で泣けるし、楽しくてたまらなくもなるのだ。

2番のカナさん。「ンー」で握った両手をあごに。もう片手バージョンは考えられない。拳は見せるのがポイントみたい。来月から意識してやってみる。

間奏のMC。「というわけで、第2部がスタートしました。後はもうオリジナルをたくさん歌って、たくさん盛りあがっていこうと思いますので、みなさん最後までお付き合いくださーい!」

拍手を受けての3番。この流れならもちろん、カナさんは「イェイ!」で両腕を高く伸ばす。僕は控えめにしておこうとライブ前は思っていたけれど、今日のこの感じならいいよねと、高いダブルピース。たじさんはカナさん側の左手で小さく。

最後はたじさんが右手を、カナさんが左手を、開いて斜めに伸ばす。たじさんは視線を外す得意のポーズだ。

今日の「恋してオムレツ」もひたすら楽しかった。久しぶり、今年初めてぐらいにテンポが早く感じたけど、そんなはずないよな。僕の感覚がおかしい。

 

「特に定まってない楽しい」MC。

 

「恋してオムレツ」でカナさんの振り付けが大きかったのは、「気分的に解放されたかった」から。「1部はしんみりした曲が多くて、秋って感じだった」

僕はBBガールズのライブでは、静かな曲が続いているとはあまり感じない。どのバラードもしっかり聴きごたえがあって、1曲ずつ世界にひたれるから。

 

カバー曲の答え合わせ。

南こうせつ「夢一夜」。「枯葉」。松山千春「もう一度」。

「夢一夜」の歌詞「紅をひく」がキーワードで、今日はめっちゃ紅をひいた。

たじさんのメイクの印象が違ったのは、そのせいだったのか。僕は鈍いのでわからなかった。

たじさんの今日の課題は、うたい上げないこと。

 

カナさんの手元がスケスケ。いっぱい見られてる。

楽譜立てがないのは本当に素晴らしい。いいことしかない。

 

明日は富山でライブ。

きときと」が富山弁で「新鮮」という意味だと、カナさんの発言で初めて知れた。

 

来月は今年最後の土曜パームトーン劇場。総まとめ。

これまでのカバーを全部やろうか。オリジナルも削らずに。すごいボリューム。

冗談っぽく言ってはるけど、カバーの再演はありだと真剣に思う。やるなら、まずは何といっても松田聖子瑠璃色の地球」。そして、今年のカバーコーナーの原点とも言える中島みゆき「ミルク32」。庄野真代「アデュー」も大好きだが、「ミルク32」とどちらかになるのかな。僕にとって特別な甲斐バンド「きんぽうげ」も、まだ生で聴けていない山口百恵「乙女座 宮」もと、欲ばってはバチが当たる。

瑠璃色の地球」と「ミルク32」は、来年2月9日(日)の京都ミューズホールでのライブでもやるのではと、勝手に前々から予想している。

 

カナさんは鼻血が出たことがない。

甲斐よしひろと同じ体質だ。

 

12月15日(日) 森乃福郎さんの高瀬川寄席

12月21日(土) ミステリ研究会 マーダーミステリー&ボードゲーム大会

12月22日(日) カオスな占い祭り

12月29日(日) 忘年会ライブ

1月12日(日)昼 日曜日だけど、BBガールズの土曜パームトーン劇場

1月12日(日)夜 TIME FOR LOVEの日曜パームトーン劇場

 

BBガールズはevent space PALMTONE(阪急京都河原町駅京阪三条駅から徒歩)で歌うイベントが続く。

その前に、12月7日(土) BBガールズの土曜パームトーン劇場 だ。

 

さらに、京都ミューズホール(KYOTO MUSE)でのライブに向けて、いろんなラジオにも出演する。

ラジオ大阪にも出るそうだ。レイザーラモンRGさんの番組に投稿していたから、感慨深い。

 

「では後半戦です」

「夜明けの月に」

カナさんの前奏からバージョン。

この大切なバラードでも、たじさんは抑えてうたっているようだ。語尾も短めにしている気がする。カナさんのコーラスもそうだ。ミーティングやリハーサルで今月はこううたおうと決めていたのだろうか。それとも、たじさんのうたい方を見て、この場でそわせているのだろうか。

2番で少し強めるようになったと見えたたじさんのうたが、3番の前半ではまた抑えられる。

同じ曲でも毎回違う。今日この時だけの「夜明けの月に」

 

カナさんが悲しげな高音を少し奏でる。

前奏からは一転、楽しそうな曲調だ。このピアノはもしかして……うわあ、「離れてもそばにいて」だ!

アルバム「ラ・ブラバ/LA BRAVA」のバージョンは、ハリウッド映画に出てくるような、ステージのある広いクラブのイメージ。酒を飲む上品な客たちの前で、歌姫たじさんが歌う。そばにはグランドピアノを弾くカナさん。後方には大人数のバンドが並んでいる。アルバムからはさまざまな楽器の音が聴こえる。

それが、今はカナさんのピアノだけの演奏だ。すごい。初めて見れたし、初めての形のはず。めっちゃうれしい!

アルバムより速めのテンポ。それに連れてたじさんの歌も変わってくる。甘えるのは変わらない。

楽譜立てがないことがさらに意味を増す。カナさんのピアノがずっと興味をひく。音の強弱。生み出すリズム。飾りのように滑り込ませるフレーズ。

たじさんは最後に「好きなー あなーたーーーーーーー」と大きく歌う。真っすぐに。解放の時だ。

めちゃめちゃよかった。カナさんの生演奏のみのたじさんの歌。

浴衣ライブの「苦い林檎酒」にも感激したし、オリジナル曲の別バージョンもいろいろ聴けたら、ものすごくうれしい。

 

引き続きカナさんのピアノのみ。ここはこれしかない。

「陽だまりの鳥」

やはり抑えてうたうたじさん。

「浮かんで消え た」と、やや遅らせ、かすれさせる。

2番で一度だけ浮かぶあなたの笑顔。

「浮かんで消え~~~た」、今度は大きくしかしさりげなく揺らして繊細な「た」につなげる。

「ただ静かに」の語尾を投げる。めずらしい形。

後奏のスキャットに、「ウォーウォーーーウ」という音が入る。これも今日ならでは。このうたい方に合わせて選んだ音なのか。あるいは、しぜんに出るものなのだろうか。

いちばん最後はこのところハミングで二段階上げていたが、今日は一回にとどめた。

BBガールズを代表するバラードも、たゆまず試して、さらなる進化を探っている。

 

クランベリージャム」

間髪入れずに始まることが多い曲だが、さすがに今日はバラードの後で少し間をとってから。

元気で、楽しく、オシャレに。ライブが一気に明るくなっている。

たじさんが回る。「フーッ!」1回転して正面を向くとその場で跳ねる。音楽にも合っているし軽快。

カナさんのオシャレなピアノ。「醒めてしまうもの」での連打が気持ちいい、かっこいい。素敵なフレーズがソロ並みに次々と繰り出されてる。この手の動きを今日まで隠してたなんて。

たじさんが回る。「フーッ!」振り付けからの流れか、回り出しは腕を上にあげている。速さがある。

サビの繰り返しを終え、たじさんが回る。今度は両手を上げたままだ。「フーッ!」何と、そのまま2回転目へ。上げた両手をひらひらさせて、走るようにして。一気に2回転するのも、1曲で4回転するのも新記録。

クランベリージャム」が終盤に歌われることは少ないけど、盛りあがっていいな。

 

たじさんが真ん中の前へ出て拳を上げる。

「風のファンタジスタ」だと思ったが、聴こえてきたのはたかしさんのギター。

「平成ガール」

たじさんのパワフルなボーカルがいい。「浮かんでたいの」の語尾の深み。激しい曲に抑えるも何もない。強い歌を堪能する。しかも、しっかりメリハリは利かせてある歌だ。

「エッアーン」なしで「君のルーツも教えて」を長く伸ばした音が、光沢を見せて美しくなめらかに少しずつ小さくなっていく。

間奏のギターとともに、カナさんのキーボードも攻めている。楽譜立てをなくしたことに、今日何度感謝しているだろう。

たじさんの強い歌が帰ってくる。「ゆとりだとバカにされたって」の「だ」と「バ」を強めるかっこいい声。「ベイベー、ベイベー」と重ねる小気味よさ。

さあ、後奏だ。たじさんは左へ。カナさんの指が細かく鍵盤を上がっていく。今日は両手バージョンだ。その両手が今度は駆け下りる。右手だけが再び頂点まで上り、一気に一番下までグリッサンド。同時に全ての音が果てる。たじさんは顔を横に向けて決める。「カナーっ!」たじさんもカナさんに拍手だ。

 

ひらめくイントロ。手拍子が始まる。カナさんの左の低いグリッサンドからあの前奏へ。

「ガーディアン・エンジェル」

この切り札が取ってあったもんね。いや、とにかくかっこいい。元々ライブで輝く曲だけど、このところの熱の高まりはすさまじい。どんどんすごくなっている。

間奏へいざなうたじさんの「アー」のささやき。

カナさんのソロがまたまた絶品だ。曲のリズムは一定なのに、このスピード感、弾む躍動感。「カナーっ!」

最後にたじさん一人で繰り返す「ガーディアン・エンジェル」の伸ばし方。

手持ちの札がMUSEに向けてどんどん強さを揺るぎないものにしていく。

 

一緒に客席もカウントを数える。カナさんが両手を上げたから、僕も両手で指を出していく。たじさんが足を上げて「フーッ!」

「まだまだGIRLでいいかしら」

これこそ最強の切り札だ。

「ウブな白い花なら」の吐息まじりに弱めた語尾の魅力。

全部見えるカナさんのソロ。「カナーっ!」の声を浴びて、「今日も幸せー」と左手を斜めに上げて右のグリッサンド

どんどん強くなるたじさんの歌。これこれ。抑えずに全部解き放ったときの声量、つや、迫力、声の伸び、届かせる力、澄んだきれいさ、豊かな響き、心に迫る情感。ことごとく素晴らしい。

「たじーっ!」と叫んだ後、僕はぼーっとしてしまい、「カナーっ!」と叫ぶこともできずに、ステージから去るお二人を見てただ強く手を打っていた。

 

アンコールに戻ってきたお二人の名前を呼ぶ声が出せなかった。激しく盛りあがった後なのに。いや、盛りあがってあまりにも感動したからか。

 

たじさんはBBガールズタオルを手にしている。イントロが始まり、そのままタオルを持った左手を上げる。

「風のファンタジスタ

「アンコールありがとうございまーす。2曲お楽しみください」

いつもより小さめの声で詞を丁寧に手渡してくる。

かと思えば、たくましい声が飛んでくる。

そしてまた後奏がすごい。最後の音を伸ばして響かせる。強く長く強く長く。この音だけでも人々を感動させられそうだ。それにとどまらず詞のメッセージもずっしりともらえるのだから、本当に素晴らしい。

 

もうイントロが鳴っている。

「あっという間の土曜パームトーン劇場、お楽しみいただけましたでしょうか? ありがとうございます! また来月もお会いできるように、この曲でお別れしたいなと思います。『境界線はいらない』」

前奏や間奏で客席に呼び掛けて、アンコールはMCなしというのもいいものだな。ずっとかっこいいままで。後半戦宣言する前のMCで十分しゃべってくれたし、告知もあった。

たじさんもカナさんもリラックスして楽しんでいるようだ。

サビでは客席にBBガールズタオルが広がり、揺れる。

今月の土曜パームトーン劇場も終わっていく。今日も最高のライブだった。

「たじーっ!」「カナーっ!」

最後は全力で叫んで感動を伝えることができた。

 

この曲、今日は特別いいなと感じる。そして、そういう曲が続々と現れる。そういうライブだった。

ちょっと思い出しただけでも、抑えた中で悲しみが沁みてきた「泡のないグラス」。そうだ、この曲でたじさんの髪の内側が紫に見えてハッとして、結局ライトだったのだけど、あれはたぶん自分の席からだけ見えた名場面だった。どの席であっても、その場所だけのうれしい発見があったはず。

泣けた「夢一夜」。聴けて感激した「枯葉」。カナさんの生演奏だけで聴けた「離れてもそばにいて」。後奏もまた盛りあがった「平成ガール」。とてつもなくかっこよくなり続けている「ガーディアン・エンジェル」。

カバーは難しい課題でもあるのに、毎月本当に見事な仕上がりだ。

オリジナル曲も磨かれ続けてどんどんまぶしく光り輝いている。ますます好きになるばかり。

ライブの構成も強力だ。このままプロらしく、アーティスト然として、ステージではかっこよくあり続けてほしい。もちろん、これは勝手な願望で、お二人が心からやりたいようにライブしてもらって、ファンはついていくだけです。

MUSEでも圧巻のライブができるのは間違いない。

あとはもっと多くの人たちにBBガールズを知ってもらって、さらにたくさんのお客さんに来ていただきたいな。

 

  ライブのアーカイブ映像はこちらです。

freshlive.tv

 

2019年11月9日 event space PALMTONE

 

もっとオールドファッションド

それはウソじゃない!?

苦い林檎酒

泡のないグラス

ひらいたトランプ

夢一夜

枯葉

~ もう一度

人生はミラーボール

恋してオムレツ

夜明けの月に

離れてもそばにいて

陽だまりの鳥

クランベリージャム

平成ガール

ガーディアン・エンジェル

まだまだGIRLでいいかしら

 

風のファンタジスタ

境界線はいらない

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