今月のカバー2曲のヒントは、「季節や10月には関係がない」「男性ロックボーカリストが歌っている」「すごく有名とは言えないが、片方の曲は、CRY(僕)は絶対に知っている」「たじさんにとってチャレンジになる難しい歌」「発表された年代は離れている」「いい曲すぎてカナさんは泣いてしまうかも」「比較的当てやすそうな方の曲の歌詞に『月』が出てくる」という感じ。
ヒントがまだ出そろっていない状況で考えたのは、
キリンジ「エイリアンズ」
CHAGE and ASKA「モーニングムーン」
ANDY WILLIAMS「MOON RIVER」
スガシカオ「黄金の月」
エレファントカシマシ「今宵の月のように」
ポルノグラフィティ「アポロ」
でも、ほとんどが有名すぎる。
「まほろば」はアルバム曲だが、さだまさしをヒントでロックとは言わないだろう。
僕が知らない「月」が出てくる曲をTwitterで教えてもらった。
カラオケに行き、JOYSOUNDのキーワード検索で「つき」と入れてみた。結果、千曲以上が該当した。「熱き心に」みたいに、「月」じゃない「つき」もヒットしてしまうのだ。歌詞を確認しつついろいろ歌ってみたが、考え過ぎてめずらしく疲れてしまった。
それから、ようやく気づく。他の人は知らないかもしれないが僕は知っている、というのがポイントではないか。
僕が他の方より詳しいと思われている男性ボーカル曲といえば、甲斐よしひろ関連か、映画の曲だと思う。
映画の主題歌や挿入歌は有名なのが多い。では、甲斐よしひろ・甲斐バンド・KAI FIVEの曲か、甲斐よしひろが他のミュージシャンに提供した曲、あるいは甲斐よしひろがカバーした曲なのでは。
BBガールズが3月の「きんぽうげ」に続いて甲斐の曲をカバーしてくれるなら、夢のようだ。期待しすぎないようにしないと、バチでも当たりそうだ。でも、甲斐の曲の可能性はけっこうある気がする。希望も込めて予想してみよう。
12日は台風で仕事が休みになった。時間はある。甲斐のディスコグラフィをデビューから順に見ていき、歌詞に月が出てきたか思い出してみる。
「魔女の季節」は独特で、BBガールズのイメージにもなく、チャレンジと言えばチャレンジだが、さすがにないか。
「最後の夜汽車」「スウィート・スムース・ステイトメント」「嵐の明日」「月に泣く」は名曲だけど、このへんのバラードはたじさんは簡単にうたいこなしそう。甲斐がカバーしたマリオ清藤「ユエの流れ」も同じく。
「HERO」はヒットしているし、BBガールズのお二人もご存知の曲だからない。
「荒野をくだって」はあやしい。アルバムではいかにも男目線のうたい方をされている。カバーしがいがあるかも。
「オクトーバー・ムーン」は今月にうってつけ。そのために条件から外れる。
「TWO MOON JUNCTION」は「NIGHT TRIPPER」の別バージョンだから、本家を差し置いての抜擢はない。
「サーフ・ムーン」をキーボードだけでカバーしたらびっくりだがどうか。
そうして、ようやく予想を7曲にしぼった。
甲斐よしひろ「波」
もちろん素人考えだけど、バラードの中では難しそうな気がする。生き物全体をうたう壮大なテーマで、たじさんがうたうのにふさわしいかもしれない。
しぶい魅力の曲。BBガールズのレパートリーにない雰囲気という印象。
KAI FIVE「落下する月」
これも少し変わっている気がする。洋楽っぽさもあるのかな。でも、タイトルに「月」が入っているのに、ヒントを「月」にはしなさそう。いや、裏の裏ということもある?
甲斐バンド後期のハードボイルド路線というか、この曲はハードコアというか。かなり妖しい歌詞だし、たじさんのイメージにない曲といえば、一人称が「俺」の男っぽいロックだと思うので、大いなるチャレンジではあるかと。
佐野元春「こんな素敵な日には」
甲斐以外の候補。ベストアルバム「No Damage」に入っているが、シングルではない。起伏が少ない曲調。ただ、カナさんはこういうのもオシャレに弾いてみせそう。たじさんもソロの「あなたのために歌うわ」もあるし、新境地とは言えないかもしれないな。
時任三郎「みえない手のひらで」
甲斐が男性アーティストに提供した曲は少なく、「月」が出てくるのはこの曲だけだと思う。家族愛の歌もBBガールズにとってめずらしいのでは。「月」が関係ないなら、竹本孝之に書いた「Weekend Lullaby」を聴きたかったところ。
甲斐バンド「ラヴ・マイナス・ゼロ」
BBガールズのカバーでこの曲が聴けたなら、どんなに幸せなことだろう。ムードのある世界観を現出してくれそう。
入場し、カナさん作の秘蔵音源入りCDとたじさんの特製イラストポストカードをいただく。
気のせいかキーボードがいつもより真ん中寄り、前寄りに見える。そして、ピンクのA4バインダーが楽譜立てに乗っている。これはたぶん初めて見た。BBガールズのステッカー付き。
席についてカバー曲予想の話をして、ステージの様子をさらにチェック。
先月 京都サンガのタオルがかかっていた右端のマイクスタンドには、マイクが備えられている。
「チャーリーズ・エンジェル」のテーマから、「Fai La Brava」
そして、「もっとオールドファッションド」のイントロ。
今月も、BBガールズの登場前から手拍子が起こる。
そこへやはり手を打ちながらカナさんが登場。「カナーっ!」上に伸ばした左手の人差し指を立てる。銀色の指輪が見える。右手で最初の音を奏でる。
カナさんの衣装は朱色がかった派手な赤に、黒のベルト。円のバックルも見える。
たじさんも手を打ちながらステージへ。「たじーっ!」
たじさんが前半からノースリーブなのは初めてでは。そのワンピースは赤だけどえんじに近い、カナさんよりも落ち着いた色。ベルトもカナさんと同じ黒で、前がリボンの形になっている。なんとなく黒猫を連想する。「魔女の宅急便」みたいな。
最初は拳を上げないたじさん。2回目から拳を上げるバージョンだった。客席でも同じ動きをして「グッデイゾードファッション」
お二人とも、靴も黒だ。赤と黒で印象強い。違うタイプのデザインで、カナさんのは演奏に支障がないように選んでありそう。たじさんの方はけっこうヒールがある。今日は「クランベリージャム」でまわるのは大変なのでは。後半から靴を換えて、大きく動く曲をやるのかな。
ハーモニーもスキャットも聴けるオープニング。早くBBガールズとしてCD化してほしい曲だ。
たじさんが左手の上に右肘を乗せる。左手を腰に当てて、一度後ろを向いてから振り返るような動き。カナさんもそれに合わせて、イスごと体の向きを変える。
「恋してオムレツ」
声を出さずに歌詞を口ずさみ、「シュビドゥビ ショビドゥバ」に切り替えたりしながら見る。
たじさんのボックスはいくつかバリエーションがあるのかも。
弧を描くように両手を開く、カナさんの1番の振り付けも、ドヨパでは2か月ぶりの復活。
「胸! まで! 焼け そう」と、切ってアクセントをつける歌い方。これはめずらしくて印象的。
2度目の間奏で観客への挨拶。笑顔で「イェーイ」って言う明るく心地よいノリ。
3番。カナさんの「イェイ」は顔の横あたり。たじさんは左手のピースをリズムよくカナさん側に出す。
最後はお二人並んで両手を開く。このとき、たじさんの手がピースになってる。これは初めて見た気がする。
今日の「恋してオムレツ」、特にめちゃめちゃ楽しかった!
あらためて最初のMC。
「土曜パームトーン劇場」だけど、初の日曜開催。
「やっぱライブ楽しいんで、みんなにも楽しんでもらえるように、今日も歌っていきたいなと思います。最後までよろしくお願いします!」
「ひらいたトランプ」
ここまで序盤で歌われるのは久々だろう。
前奏で低めのスキャットをたっぷり聴かせてくれる。
「心も枯れてくものよ」の語尾は短く切りぎみ。ここからの間奏ではスキャットは封印される。
2回目の間奏に入るところで、たじさんは「アイ」と言う代わりみたいに、体を左に傾ける。ここからのカナさんの演奏が好き。ライブに通うごとに、「ひらいたトランプ」を聴くたびに、どんどん楽しみになっていく。今日はどんなソロなのかと。もちろん繰り返される三連打も、さり気なくクールに見せるグリッサンドも、コーラスもめっちゃ素敵だ。
最後の「何もかも奪いあえる」を高く張るたじさんの声。それに連れるカナさんのコーラス。たじさんの歌がさらに強くなる。伸ばしていく。後奏のスキャットへ。かっこいい声。オシャレなリズム。高く澄むスキャットも。いつもながら全編見どころだ。
イントロに驚く。
「クランベリージャム」だ。
たじさんの動きがやわらかで、しぜんなしなやかさを感じる。ますますいいな。
そして、難なく見事にまわる。ヒールなのにすごい。客席からの「フーッ!」の声も増えている。
2回目にまわるたじさん。ちょっとスピードを落とす。これもいい。
カナさんのキーボードの高音。パチパチと彩るリズム。「one more jam one more love」。何もかもがオシャレで素敵。
3回目はさらにゆっくりまわるたじさん。スカートがふわっとして、かわいらしかった。
スポットライトが消えると、たじさんはもう次の曲の世界に入っている。赤い影になって揺れるたじさん。
「苦い林檎酒」
たじさんと違うタイミングで、歌詞の中のひと言を伸ばしていくカナさんのコーラスがずっと好きだ。
間奏でたじさんは「カナ……」とは言わずに後ろへさがり、少し腕を振って軽く踊る。
歌詞を全てうたい終えたたじさんが、太い声で泣くようなスキャット。尺八の音色に続いては、高音を聴かせてくれる。演奏が終わり、たじさんが伸ばす美しい声だけが響く。そのときたじさんは赤い影に戻っていた。
赤のステージが、水玉のある白へ。カナさんのピアノ。
「透明な水」
今度はこの曲に入り込んでいるたじさん。やや放心したみたいに、ほぼ体を動かさず、けだるそうな声でうたい出す。カナさんのピアノは、たじさんのまわりでわずかに飛沫が跳ねるように。「夏も終わるわ」の「わ」は、今日も浮かべていく。
たじさんの声に少しずつ力がこもっていく。ときにはほんの少しだけ歌詞の乗せ方を変えたりもして。
いつの間にかステージは青が濃くなっている。水玉はまさに透明に見える。ある明かりは水中に射している光のようだ。
「あと少し 抱いていて」と声を高め、「あなたを」から「こんなにも」で静かめで丁寧なうたい方へ。「愛してる」には切なさをこめ、語尾は響かせる。
スキャットもハミングもなく後ずさるたじさんが青に溶けていく。
MCに入るも、カナさんは「『透明な水』の余韻にひたってしもてた」「『ああ、何か今日あたし水中におるわー』と思って弾いてて」
余韻の深さにお二人とも言葉が出ず、ラジオパーソナリティなのにと言ってから、「BBガールズのまだまだGIRLでいいかしら」の8周年について。
番組を始めたきっかけ。それがあってfm GIGに来ていなければ、こうしてプロとしてステージに立つこともなかった。
BBガールズの出会いと結成秘話。
サウンドパークで発売になったBBガールズタオルと、BBガールズTシャツが多い客席を見ると、アイドルのライブ会場みたいと思われたそう。
でも、ロックのライブでもみんなけっこうタオル巻いてますよ。
感謝が大事という話。
来年2月9日(日)の京都ミューズホールでのワンマンライブに向けて。
「みんなもね、あたしたちについてきていただけるように、あたしたちもいいライブをこれからも届けていこうじゃないか」
カナさんがたじさんに呼びかけた。
「それでは聴いてもらいましょう」とたじさん。
カナさんのピアノが入る。!!これだったのか!! 僕は思わず上体を前に倒してしまった。一瞬ステージから目が切れたかと思うと惜しい。が、それぐらい衝撃だったのだ。すぐにわかった。甲斐ファンならば誰もがわかる。
「最後の夜汽車」!
カナさんが前奏のフレーズを2回奏でると、もう歌が入る。ボーカルとピアノの二人だけの、BBガールズの「最後の夜汽車」だ。
「スポットライトは どこかのスターのもの」
歌詞を連想させる円いスポットに照らし出されたたじさんがうたう。情感をこめて。
「生きてきた」は低めのメロディで。
「拍手が鳴りやみ」でアクセントをつけたカナさんの一音で、バックの細やかなライトが消える。「客がいなくなっても」
「悲しいシンガー のよに」は再び低く。
「僕が さびしいって 言ったら あの人は バカねって そっと 笑った ほほに 優しく 手をやりながら 僕しか いないって 言ってくれた」
この3番にぞくっとする。これまでにカバーした中島みゆき「ミルク32」、庄野真代「アデュー」のような、たじさんが主人公になり切って演じるような歌。「最後の夜汽車」がこんなふうにうたわれるとは。
3番の サビで初めてカナさんのコーラスが入る。たじさんは「ウーウー」とはさんでから「僕の街を 遠ざかる」
カナさんのピアノが音階を下りてくる。
2度目の「その裏側で」を強く張り上げるフェイク。これもすごい。さまざまなバージョンの「最後の夜汽車」を聴いてきたけど、こういう歌われ方は初めて聴いた。
そして、これこそいくつもの形があるサビの繰り返し。2度目で「君が乗ったーーー」と高い方へ進む。「オーーオ~オー」から「僕の街をーーーーー」と語尾を伸ばし、ブレイク。それから哀しくやさしい声で「遠ざかる」の語尾をさらにさらに伸ばしていく。カナさんのピアノが前奏の音で入る。たじさんの声も続く。やがてピアノの音色だけになり、あのフレーズを2回弾いてから、美しい旋律が繊細に高くのぼって終わる。このアレンジも初めて聴いた。カナさんが仕上げたのでしょう。ピアノだけの演奏、BBガールズならではの「最後の夜汽車」。ピアノの前奏も、ギターのない間奏も後奏も短くしてあり、ドラムのないしめくくりも独特で見事。大切にカバーしてくださったんですね。
3月の「きんぽうげ」に続いて、BBガールズによる甲斐バンドのカバーが聴けた!! 僕が大好きな二大アーティストなんだ。この感激がわかってもらえるだろうか。本当にうれしくて、めちゃめちゃありがたい。僕はものすごいしあわせものだ。しみじみよかったです。
カナさんが「カントリー・ロード」を奏でる。心地よいリズム。ここの部分も好きで、毎月楽しみだ。
次のカバー曲へと移っていく。たじさんにもライトが当たり、うたい始める。
「ばあちゃんは赤いベレー帽が似合う」
この曲、知ってる。この前の木曜日の「かしこTV」と、昨日の「ムンサタ」会員限定放送で聴いた。なにげない感じでかけていたのに、まさか伏線だったとは。ありがたい。
小山卓治の「ばあちゃんごめんね」
1番のサビあたりから泣けてしまう。
2番の後にカナさんが「ウー ウー ウー ウー」とコーラス。たじさんも合流していく。
ばあちゃんに謝りながらも、「僕は行かなきゃいけないんだ」「僕はこっちでやることがあるんだ」「そこにいてあげられなかった」という事情や想いも想像できる。わかる。だからこそ、「僕はちゃんと大人になった」のだろう。
ばあちゃんはきっとまったく怒らないし、全部ゆるしてくれそうだ。でも、本当はものすごくさみしいんじゃないか。
そんなことが頭に浮かんで泣ける。
たじさんの瞳もうるうるしているように見える。
もう一度「ウー ウー ウー ウー」と声を合わせて曲が終わっていった。
おじぎをしてからお二人が去る。
8月からのあの音楽が流れてくる。ばあちゃんの歌から郷愁的な曲へのつながり。
カバーで感動した後のこの時間もいいものだ。
あのメロディが小さくなり、高音が少しずつちりばめられる。
カナさんが、たじさんが、帰ってくる。僕らは静かに見守る。
やっぱりここはこの曲だ。カバー曲の歌詞に「月」が出てくると知ってから、その後はこれだと思ってた。御色直しをはさんでもそれは変わらない。「乙女座 宮」「瑠璃色の地球」に続けてうたわれたように。
「夜明けの月に」
最近つくづく思っている。たじさんは声量があるし、高音が出せるし、バラードもうまいし、情感を込められるし、歌詞をしっかり届けることができるし、語尾に余情を乗せられるし、オシャレな曲も歌いこなせるし、歌を演じるように表現することもできるし、さまざまな声を出したり聴かせたりする技術もたくさん持っている。僕では気づけなかったり言葉にできなかったりするすごさもあるだろう。盛りあがる曲を続けてパワーで押すこともできるし、例えば4曲ぐらいいろんなタイプの曲を並べて多彩な面を見せることもできる。本当に素晴らしい。そこにカナさんのハーモニーが加わるのだから、鬼に金棒だ。
今日の「夜明けの月に」は、丁寧に聴かせてくれる。2番だけ増えるカナさんのコーラスも素敵。
後半の衣装は、お二人ともアルバム「ラ・ブラバ/LA BRAVA」の白いBBガールズTシャツに、カナさんは藤紫、たじさんはクリームイエローの色違いのスカート。
その姿で大切な曲を伝えてくれた。勇気をもらえる「夜明けの月に」
「離れてもそばにいて」
たじさんは甘えている雰囲気でうたい出す。マイクを両手で、それも指をのばしてはさんでいる持ち方からも、それが感じられる。
歌の後ろのカナさんのピアノも、少しずつ上がったりする間奏も、印象的。
悟ったような詞の3番に入ると、たじさんがしあわせそうな表情になる。
最後は上品な挨拶っぽく少し膝を曲げ、首を傾けて、曲の終わりに合わせて両手を広げた。
バラードが続いた流れを変えるイントロ。カナさんの短い右のグリッサンド。すぐに手拍子が起きる。
「それはウソじゃない!?」
予想より歌われるのが早い。先月はアンコールでだったし、もしかしたら終盤怒濤の盛りあがりの中に組み込まれるかもと思ってた。
Aメロで左右に揺れるたじさんに合わせて、カナさんも同じ方へ揺れている。9月のわくわくシティーパークでは、Bメロで動きをシンクロさせるのが目を引いたけど、今日はたじさんがステップを踏みながら体を沈めていくとき、カナさんはより細かい指を運ぶリズムに身を任せてる感じ。あの日とは違う角度の席にいるから、そう見えるのだろうか。サビではまた、たじさんの足が右前から左前に入れかわるとき、カナさんも体をひねって角度を合わす。
注目してた最後の振り付け。たじさんは先月と同じく、手のひらをこちらに向けた左手で、自分の顔を隠して決めた。これがかっこいいのだ。「たじーっ!」
盛りあがったところでMCへ。
「今月のカバー曲当ては、該当者なし!」
1曲目は甲斐バンドの「最後の夜汽車」
2曲目は、一昨日このevent space PALMTONEでライブをされた、小山卓治さんの「ばあちゃんごめんね」
この流れ、やっぱりいいな。
前半にカバー曲をやって、インターバルの後に再登場。後半の1曲目はどうするのかと予想する楽しみもある。それから、MCでカバー曲についての話も聴かせてもらえる。
「ばあちゃんごめんね」では、カナさんは泣いてしまっていたという。たじさんもやはり、うるうる来てたらしい。
話しているうちに、カナさんはまたも涙。
ライブで泣くカナさんを見るのは3回目。去年の3月、たじさんからお誕生日のメッセージを贈られたときと、今年の4月、超満員でKYOTO MUSEでのライブを勝ち取ったとき以来。
カナさんが旦那様のおばあちゃんに初めて会ったときのお話。なんていい人。なんて素敵な奥様。
「会えるときに会いに行かないといけない」
「会えなくなる前に。友達でもそう。思い出して」
「BBガールズにも、会いに来れるときに、来といてくれてるみなさんは大好き」
「うちらだって、いつまでできるかわかれへんもんね。いつ何があるかわからない。災害もあるし。今日ここでライブができることに感謝しながら」
先月の土曜パームトーン劇場の前の、たじさんのツイートを思い出す。
もしも何かがあって歌えなくなったらという不安を綴っておられた。
アーティスト側にも、そういう思いがあるのですね。それはね。
ファンとしても、大好きなBBガールズのライブに無事に行けるかという心配がある。行けるかぎり、できるだけ多く、BBガールズのライブが見たい。だから、来月の富山にも行きたい。道の駅 雨晴。
こういう話の後には、この曲しかない。
大切な人を喪失したバラード。
「陽だまりの鳥」
「なにげない 優しさなら ひとつふたつと さが せるけ ど」
弱めの声。いつもと違う切りかた。悲しい歌にさらにひき込まれる。
照明は白と黄色。夕陽の色に染まることはない。そうか、陽だまりだから夕暮れとはかぎらないんだ。むしろ昼か。「陽だまりの中で 鳥が飛んで 幻のような 空に紛れてゆく」は青空をイメージして聴くことが多いのに。いろんな印象に引っ張られている。僕の聴き込み方は甘かった。もう一度、詞をとらえ直さなければ。
後奏。慟哭を思わせる低音から、美しく澄んだ声へ。
今日のMCからの「陽だまりの鳥」も素晴らしかった。
たじさんの影が左手を挙げている。客席も手を挙げる。ビートが鳴り出すと、たじさんが顔を上げる。拳に力がこもる。
「風のファンタジスタ」
カラフルに変わっていくライト。BB大喜利 夏の陣に続いて、いつもの緑とは違う見せ方だ。
たじさんのつややかな声が伸びていく。力んでいる素振りはない。しなやかな強さを感じる。
カナさんのピアノだけが曲の終わりを告げ、たじさんは左手を掲げる。サウンドパークではなかったから、わくわくシティーパーク以来だ。このポーズには思い入れがあるから、見れてうれしい。
ライトが落とされ、「たじーっ!」と声援できる間があってから、ギターが聴こえてくる。
「平成ガール」
めちゃめちゃ盛りあがる。すっかりライブ終盤の定番にのし上がってる。めっちゃ好き。早くカラオケに入れてほしい。
カナさんの隠しコーラスは今日は控えめ。
歌詞も好きなとこいっぱいあるけど、最近のいちばんのお気に入り部分が「ただあた!しら!しく! ありたーーーい」とアクセントを付けて歌われて最高。
この激しい曲にあっても、ひたすら美しく伸ばされたたじさんの最後の音の見事さを聴け。
そこからはカナさんの見せ場だ。鍵盤を細かく上がり下がりグリッサンドへと移行する。この必殺技を今日は右手だけで披露。毎回違った楽しみが飛び出す平成ガール。カナさんの両手が鍵盤を離れ、たじさんが両腕を広げたところで曲の姿が消える。
ビートとカウント。このマンスリーワンマンライブは、毎回いろんな構成を試みてるから、来るんじゃないかと思ってた。今日も最後から2曲目のはず。
「まだまだGIRLでいいかしら」
もう座ってるのがもどかしいくらい。自分の席で迷惑にならない範囲で体を動かす。この熱狂がたまらない。お二人も楽しそうだ。
間奏で声援を浴びたカナさんは「100の感謝」
またまたすごい後奏のたじさん。深く豊かに張った声から、最後は「オーイェーーイイェーーーーーーィ」カナさんがもう一音加えることなく、たじさんの声だけで終えた。
カナさんの右グリッサンド。たじさんが跳ぶ。
「人生はミラーボール」
そう、まだこの曲がとってあるのだ。ここかなと思ってた。先月は久々に前で歌われて、今日はいちばん最後。
先月に続いて、今月も最初の「フーッ!」はなし。
「Are you lady?」で左から右へ客席を指していくカナさんに、たじさんも動きを合わせる。これいいなあ。
1番が終わると、「最後の曲になっております。最大級の感謝っ」
たじさんは次の「Are you lady?」でも同様に、客席を指す。
「あーなたしだーーーーー~~~ン~~~」と客席全体を示して、カナさんの間奏へ突入。
ファンが集まったワンマンライブだ。煽りも合図も必要ない。「BBガールズ!!」
うきうきするスキャット。高くなる。パワフルな「イェーーーーーーーーイ イェーエーイ」
最後の伸ばす音に乗せて、「みなさん今日もありがとうございましたーーーー」。カナさんも声を重ね、拍手みたいに高音を叩いて本編最後を飾ってくれた。
アンコールの手拍子の中、あのイントロがひらひらと舞う。手拍子は即座に曲に従う。頭上で手を打つカナさんの再登場。カナさんのキーボードで高まる興奮。たじさんが走ってくる。手にしたBBガールズタオルを左側のマイクスタンドにかけ、センターへ。お二人のハーモニーが聴けるサビが始まる。
「ガーディアン・エンジェル」は、やはりインターバルの後にぴったりだ。「カナーっ!」「たじーっ!」の声も飛ぶ。この幕開けのかっこよさ。
そして、ついに来た。8月のライブ中に予想してたことがとうとう今実現してる。「ガーディアン・エンジェル」、初のアンコール1曲目だ。
天使の羽の動き。カラフルに変わり続けるライト。カナさんの間奏。全てがめくるめく「ガーディアン・エンジェル」
後奏でもう一度たじさんが曲のタイトルを歌う。最後を伸ばして低くする貴重なバージョン。音が果てるとともに横を向き、左手がその前を円を描きながら降りていく。
この曲の素晴らしさをまた改めて実感できた。
「ああやって前で踊ってくださってる方がいないと、私たちも100以上の力出ないやん。ライブは100の力で挑むけど、それ以上出すのってやっぱり、お客さんが楽しんでくれたはる……」
「本当に楽しいし、気持ちいいし、もうそのままの、もっとのテンションで、ミューズホールに向けて。もう言うてる間なんですよ」
お二人とも、今日のカバー2曲は本当に歌詞がすごくいいので、後で見てほしいと言う。
甲斐よしひろは何度かだけ、「この曲が書けたのだから、もう今後曲が書けなくなってもいい」とまで思えたことがあったという。「最後の夜汽車」は、その最初の曲だったはず。
冒頭の詞は比喩ととらえることもできると思うけど、舞台に立たれる方々は、主人公も自分と同じ舞台に立つ者だと感じることが多いみたい。
鶴瓶さんもさんまさんもご自分のライブで歌われている。
来月のBBガールズの土曜パームトーン劇場も2週目。11月9日(土)。
翌日の富山県道の駅雨晴との2DAYSだ。
「境界線はいらない」の前奏に乗せて。
「またMUSEに向けて練習とかしていきますので、是非応援してください。応援してもらえるアーティストでいれるようにがんばっていきたいと思います。今日は本当にありがとうございました!」
右手にBBガールズタオルを持っているので、たじさんはめずらしくマイクを左手に持って歌っていく。
サビではサウンドパークでやった通りに、頭上でタオルを広げて左右に振る。
うなずくたじさんを見て、いっしょに歌ってもいいんだと「ラララ ラララ」が大きくなっていく。
曲のエンディングでカナさんのそばに寄り、「みんなありがとうーーー」と言ってBBガールズタオルを広げる。ちょっとおどけてからふわっと跳ねるたじさんに、カナさんが最後の音色を添えた。
今月のライブも最高だった!!
進化していくオリジナル曲。渾身のカバー。その配置、ライブの構成。今日だけの特別、その時その時のひらめき、一瞬の輝き。
それを生で見るのが、何倍も何倍もいい。自分が選んだ席から、好きな角度で、見たいところを見ることができる。臨場感や一体感は言うまでもない。
BBガールズの土曜パームトーン劇場はすごいと、何度言っても足りない。
これが積み重なって迎えるKYOTO MUSEでのライブ、ただただ楽しみしかない。
でも、その前に11月の土曜パームトーン劇場だ。見逃せない入魂のライブが毎月やって来る。BBガールズのファンはしあわせです。
ライブのアーカイブ映像はこちらです。
2019年10月13日 event space PALMTONE
もっとオールドファッションド
恋してオムレツ
ひらいたトランプ
クランベリージャム
苦い林檎酒
透明な水
最後の夜汽車
カントリー・ロード ~ ばあちゃんごめんね
夜明けの月に
離れてもそばにいて
それはウソじゃない!?
陽だまりの鳥
風のファンタジスタ
平成ガール
まだまだGIRLでいいかしら
人生はミラーボール
ガーディアン・エンジェル
境界線はいらない
会場にFMはしもとの番組表が置いてあった。「BBガールズの人生はミラーボール」の番組中にも触れていたやつ。BBガールズが表紙に載っている。手に入ってうれしい。
最後のページにはFMはしもとのCMについて書いてあった。FMはしもとでCMを打てば、「BBガールズの人生はミラーボール」のアーカイブを(ポッドキャストとか形は何でもいいので)残してもらえるでしょうか? どうですか、FMはしもとさん!
今月は変則日程で日曜開催だったので、ゆっくり会場に残れる。初めてビールとか飲んじゃうもんね。
プロデューサーの冴沢͡鐘己さんから、曲のこと、カバーのアレンジの話など聴かせてもらう。先月も「SEPTEMBER」のコーラスの割り振りについて話せてありがたかったが、時間が足りなかった。今月は「最後の夜汽車」のこともたっぷり聴けた。
僕の予想はマニアック過ぎたみたい。「最後の夜汽車」、当てたかったな。ピアノですもんね。
BBガールズのお二人も来られて、少し曲のことが聴けた。休みの日のライブはよい。
入場特典のCDでも、「最後の夜汽車」と「ばあちゃんごめんね」のカバー秘話が聴けた。めちゃめちゃうれしい!
こちらも毎月楽しみなたじさんのポストカードも、特に好きな感じ。ご自分の顔はわがままっぽい表情にしつつ、カナさんには変なことはしない。たじさんのカナさんへの感謝が、いつもにじみ出ている。