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Twitterには長いやつ

BBガールズの土曜パームトーン劇場(2019年4月6日)

木屋町通の桜は満開。人通りも多い。高瀬川沿いをゆっくり花を見ながら歩く。ちょっと前まで、河原町は映画かお笑いを見に来るところだった。その頃から、桜の多いこの道はお気に入りで、春は花見代わりに散歩していた。月1以上で木屋町に通うことになるとは想像もしていなかった。

 

開場時間を少し過ぎて event space PALMTONE に入る。いつもより多く席が用意されている。今日は初めて、観客数の目標が設定されているのだ。それが達成できれば、BBガールズは京都ミューズホールでライブができる。

たじさんとカナさんは毎月、開演前に客席に来て、客に声をかけてくれる。初めて来たときはびっくりしたな。そのお二人が今日は出てこない。開演前にもし目標より少ない客数を見たら動揺するかもしれないからだという。

 

僕は迷った末、最前列の左端に座った。先週の「北山かなんデビューLIVE」で見た迫力が忘れられない。

それに、客入りの心配をしたくなかった。前にいれば、この場に何人来ているかわからない。

もちろん目標は是が非でも達成してほしい。ミューズホールでBBガールズのライブが見たい。それにまず、BBガールズの素晴らしいライブを多くの人に見てほしい。でも、万が一、今日目標に達しなかったとしても、BBガールズのライブがいいという事実は何も変わらない。その場合は、その思いを拍手や手拍子で伝えたかった。

なんて思っていたけど、あっさりと目標人数は超えたようで、カウンター内の曽我未知子さんから報告の声があがった。祝福の拍手が沸く。ああ、本当によかった。来てくれた方々、ありがたいな。

 

今日は初めてのお客さんも多いだろうから、プロデューサーの冴沢͡鐘己さんは「これまでのベストライブをぶつける」と宣言されていた。王道の曲順で行くということだろう。

 

「人生はミラーボール」

「もっとオールドファッションド」

「苦い林檎酒」

「ひらいたトランプ」

クランベリージャム」

「それはウソじゃない!?」

「恋してオムレツ」

 

カバー2曲

「離れてもそばにいて」

「透明な水」

「風のファンタジスタ

「ガーディアン・エンジェル」

「平成ガール」

「まだまだGIRLでいいかしら」

 

「陽だまりの鳥」

「境界線はいらない」

 

というのが僕の予想。

 

いちばん前の左端から舞台を観察する。

客席を向いたスピーカーを乗せている銀の柱の中のライトが、左右で違う。初めて気づいた。今まで何を見ていたんだ。

楽屋側から左の幕の端をめくった伊藤直輝さんが、「うわっ」と驚きの声をあげた。それほど客が多いのだ。

 

BGMが高鳴り、やがて「Fai La Brava」に変わる。このオープニング好き。

カナさんが先に登場。拍手が沸く。これこれ。やっぱりスターは開幕とともに姿を見せて、歓声を浴びるのがふさわしい。

カナさんが先ということは、やはり1曲目は「ガーディアン・エンジェル」なのか。しかし、流れている曲は先月の最初と同じだ。カナさんは立ったまま、右手で最初の音を奏でる。「タララッラッラッラッ」

たじさんが現れる。ここでも拍手が沸く。両手を広げてお辞儀。カナさんは座ってさっきのフレーズを繰り返す。

「もっとオールドファッションド」

先月初めて聴いて好きになり、何日も頭から離れなかった曲。やってほしいとは思ってたけど、先月に続いて1曲目で聴けるとは。

カナさんが客席1人ずつの顔を見てにっこりしながら弾いていく。

たじさんは躍動。この距離だと、体を揺さぶったりちょっとした動きもしっかりわかる。表情や気持ちがあらわれてるような目も。

ボーカルの語尾が好き。切っても伸ばしても響く。勢いがつく「アハー」もめっちゃいい。

 

「人生はミラーボール」

衣装は紺というか、濃い藤色か。たじさんの方が白い模様が多く見え、沖縄のミンサーっぽく感じる。「わくわくシティーパーク in 厚木」で初めて着た、「fm GIG アカデミー賞 最優秀歌唱賞」の賞金で買った服のはず。僕は初めて生で見れた。

ニューバージョンの歌詞。肘を曲げた左手を上に向けてのたじさんのステップ。うれしそうなカナさんの演奏。回るミラーボールの光。「BBガールズ!」の声。サビの強く歌う音。後奏。とにかくめちゃめちゃ楽しい。

 

「ガーディアン・エンジェル」

お二人が頭上で手拍子。会場の手拍子もさらに大きくなる。1曲目じゃないときは、これができるのだな。たじさんがカナさんを両手で指差して、キーボードが入る。

まさかここで「ガーディアン・エンジェル」を出してくるとは。この曲か「人生はミラーボール」のどちらかは、終盤の盛り上げるところまでとっておくと思ってた。

そうか、最初のMCより前に間奏でカナさんを紹介するねらいもあるのか。と思ったが、ここでは紹介されなかった。

最初の3曲で絶対に盛りあげてやる! という布陣に思える。

 

「BBガールズでーす! 土曜パームトーン劇場、始まりましたー!」

「いっぱいいるー」

カナさんは「泣きそうになる」

「人数達成できましたー!」に、拍手と歓声。照明も点滅。

感謝を伝えるお二人。

 

たじさんが今日初めてマイクスタンドを使う。「今日も心をこめて」という言葉。カナさんは静かな音を奏でている。曲名が告げられ、前奏が始まる。

「夜明けの月に」

久しぶりにやってくれた。ベストライブなら、外す手はないか。

近くの席にこの歌が好きな方がいらっしゃる。震災後に祈りを込めてつくられた歌。僕も出だしからうるうるきてしまった。

 

しっとりとしたカナさんのピアノ。

「透明な水」

ここでバラードを続けてくるとは。

二人でいるのに感じられる孤独。カナさんの奏でるきれいな音は波のように。照明は雫。「光る砂が見える」のピアノの間隔が心地いい。「あなたをこんなにも 愛してーーーるー…」やや長く伸ばすうたい方。最後は悲しみより希望を感じた。

 

「ひらいたトランプ」

前奏からたじさんが声を出し続ける。「アーィ」という語尾が特に好き。

カナさんのグリッサンドが絶妙なタイミングで。たじさんが後方へ放つ目線は輝いている。

1番の最後は、そこだけ弱く「ものよ」

2番は「呼ぶの」を響かせ、「アーィ…」という吐息のような声でカナさんのソロへ。ここめっちゃ好き。

ラストは上げて伸ばした「呼ぶのーーーー」が反響する。後奏でもたじさんの声が伸びる伸びる。

 

「恋してオムレツ」

距離が近いから、たじさんのステップもよく見える。このひたすらかわいい幸せな曲でも、軽く歌っているように見えてずっと声がいい。強弱のつけ方も驚異的に気持ちいい。コーラスもめっちゃ好き。

カナさんの振り付けは1番の「ワー」が大きくなっていた。楽しすぎるぐらい楽しい。

僕は後ろの人のじゃまにならないように、いつもよりずっと振り付けを小さくしていた。本当は思う存分動きたい。これだけが前に座るときの課題。

「御色直しの後も楽しんでいってください!」

 

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BBガールズが白い衣装で戻ってくる。最初は上下白だと思ったが、よく見るとたじさんのスカートはクリーム色がかっているみたい。

 

「長いMC」

「やっと客席見えた」という言葉が印象的。

いっぱい入って目標達成。あらためてMUSEの予告。客席の反応も、人数に比例して大きい。

カナさんはめずらしく緊張していたそうだ。

BBガールズTシャツの件もはさみつつ、桜や花見の話でしめくくる。

 

カナさんが「さくらさくら」を弾き始める。シンプルなのではなく、飾りをほどこしたおしゃれなアレンジ。何をカバーするのか探りながら聴いているからか、別の曲なのかとさえ思った。

これはきっと、12月に「ジングルベル」から「恋してオムレツ」につなげた形。何を歌うのだろう。もしかして童謡? このまま「夜桜お七」に突入したりして。たじさんが演歌もうまいのは間違いないと思うが、今日ワンマンライブで歌うだろうか。

軽快でいて静かな曲調に変わる。

「traveling」

「つかまる」「飛び乗る」「目ー指ーすーは  君」とカナさんの歌がはさまる。BBガールズのカバーは、このお二人である強みをいつも生かしてる。ハーモニーがずっといい。

「風に またぎ 月へ 登り」田嶋ゆかが音を三つずつに連ねかっこよくて春の昼の夢の如し。

宇多田ヒカルは「平成ガール」の歌詞でもリスペクトを示した存在で、好き過ぎてこれまでほぼカバーしていなかったはず。このところのBBガールズは、新しい課題をどんどん打ち破って大きくなっている。

 

「春よ 遠き春よ」

カナさんの静かなピアノで、たじさんがサビから歌い出す。

「春よ、来い」

声がすごく高い。高い音はいくらでも出せるようなたじさんとはいえ、こんなに高く入るものだろうか。サビからだからこれでいいのか。

「春よ、来い」って、こういう歌詞やったかな。なかなかサビ前の感じにならない。こんなふうに「フォーウォーウォー」って声を重ねるとこあったっけ。

たじさんの強い語尾が響く。

たじさんとカナさんで「信じ合えるよろこびも」 ! これ、ELTやん!

「Time goes by」

いつの間に変わっていたんだ。ともかく、歌も演奏もコーラスもよかった。詞も曲も。

 

「離れてもそばにいて」

先月に続いて、等身大の女性が歌ってるイメージ。

ひたすら夢中な甘い歌。

以前アメリカ映画のシーンが浮かんだのは、曲が洋楽っぽいということなのだろうか。

 

たじさんがまだお辞儀をしてる間からイントロ。

クランベリージャム」

この始まり方が、ライブでもアルバム「ラ・ブラバ/LA BRAVA」でも好き。

後半初の手拍子する曲。

すまして見せるたじさんもいいし、幸せな魔法みたいな終盤のコーラスも素敵。

 

後半に2度目のMCが入るのは今年初。

クランベリージャム」から終盤の盛り上がりになだれ込むのかと思ったが違った。今日は今年よく前半で歌われていた曲がまだだったりして、この後の展開の予測がつかない。

 

カナさんがカバーコーナーで緊張したという。キーボードのみの形だったのもあったみたい。今年は毎月プロデューサーから難しい課題を出されて、でもそれを全部乗り越えて、BBガールズは着実に進化している。

これまでは昭和の名曲のカバーが多かったけど、これからさらに幅広い世代を引き込むために、最近の曲をやるのもいいのかもしれないですね。

 

月1回の土曜パームトーン劇場を始めた頃はお客さんが少ないこともあって、「『これを10人、20人、30人にしていこうね』って言っていたんですよ。それが今日、叶いました。ありがとうございます」

拍手を受けて、「ちょっと泣きそう」

「本当にありがとうございます」と頭を下げたまま、「陽だまりの鳥」

 

たじさんは弱くうたう。時には少し泣きそうな声で。

2番になると、小さいけれど澄んだよく届く声になる。そうかと思うと、サビで弱めたり、泣きそうな声も一瞬まぜる。僕はもう聴き入ってしまう。

繰り返し。カナさんのコーラスが高い。強くなるお二人の声。高く歌えるたじさんのコーラスができるのって大変なことだな。カナさんのすごさを、あらためて強く感じる。

一瞬ピアノが止まり、たじさんの声だけになる。この終わり方、CDや配信と違うでしょう。今日初めてBBガールズのライブを見た方にも、生の「陽だまりの鳥」の魅力が伝わったと思う。

 

こうなるともう次はこの曲しかない。

「風のファンタジスタ

きっと今まででいちばん多くの拳が上がってる。

たじさんが感慨深げ。目がうるんでいるようにも見えるが、歌声は一貫して力強いから僕の気のせいか。カナさんは楽しそうに笑ってる。

今日は「君に夢を託す 少年の眼差し」という詞が胸を打った。

 

「それはウソじゃない!?」

ここで来たか。「平成ガール」もそうだし、新曲が次々と終盤盛り上がりのラインアップに入るのはすごくいい。勝負どころで使える強いカードが増えている。本当に毎月進化を見せてくれて熱い。

アルバムで発表されたばかりの曲だけど、つくづくBBガールズらしい曲だと思う。詞も含めて、たじさんが歌い、カナさんがコーラスすることを考え抜いて書かれている。

軽快な曲で「シュビドゥビドゥビドゥバッパー」って聴かせるの、いいなあ。

歌とグリッサンドのタイミングも最高。

さらにはたじさんの歌い方だ。語尾に「ん」をつける愛嬌を見せたかと思えば、そっとつき放す。吐息まで見せ場のひとつ。

 

すぐに「平成ガール」

前奏で何か言いかけてやめたたじさんが、「会場に来てるかわからへんけど、ギターはたかしです!」

たかしさんのギターに乗って、カナさんのキーボードに彩られて歌うたじさん。これがバンドで、MUSEで、聴けるんだよ。バンザイ!

平成最後の「平成ガール」、めちゃめちゃ盛り上がったもんね。

 

「まだまだGIRLでいいかしら」

代表曲であり、大喜利もやってるラジオのタイトル曲。

たじさんの動きと声。カナさんの歌いながらの演奏。サビの振り付け。僕の席には大きく動けるスペースはないが、「Love me,love me」で手を振り、その後は力一杯手を打つ。BBガールズの勇姿を目に焼き付ける。人数が多いから、手拍子が分厚い。

「on keyboard、万木嘉奈子!」

拍手と歓声。

「ありがとうございまーす!」

最後はカナさんが鍵盤を連打。たじさんは声を伸ばす。グリッサンド。お礼を叫んでたじさんが跳ぶ。着地に合わせて「バン!」と弾き、とどめのグリッサンド。カナさんも感謝を述べて、二人が去る。

 

拍手がすぐに手拍子に。人が多い方が意外と手拍子が合いやすかった。

アンコールの間の赤い照明が、次の曲の予告になっているに違いない。

 

BBガールズTシャツに着替えたカナさんとたじさんが帰ってきた。

すぐに音が鳴る。曲はもちろん、「苦い林檎酒」

たじさんの首元に汗がまとわりついてる。いつもは汗のイメージないけど。前に座ったから初めて見えたのだろうか。

たじさんがいつも以上にスキャットを聴かせてくれてる気がする。でも、「カナ」とささやいて間奏の後半はしっかり見せ場を譲る。

後奏で再び、のびやかで澄んだスキャットをたっぷりと。

 

「アンコールありがとうございます!」

「これがTシャツです」

「来月もみなさん来てくださいね」

「MUSEも来ていただいてね。毎月第1土曜日のこのドヨパも来てください」

「来月はゴールデンウィーク真っただ中」

5月4日です。

何度もお礼を言ってくれて、深々とおじぎしてから最後の曲へ。

 

「境界線はいらない」

前奏に乗せてたじさんが「6年がんばってきた甲斐がありました! 本当にありがとうございまーす!」

カナさんは感極まってるように見える。でも、すぐ笑顔になった。

たじさんが「みんな、手を挙げろ! イェーーーイ」と言ってからの終盤。会場じゅうで手が揺れる中、カナさんが涙する。もうコーラスができない。たじさんは思いきり楽しそうににこにこしてる。たじさんが行き過ぎかけた時はカナさんが修正し、カナさんが泣いてる時はたじさんが明るく支える。これがBBガールズだと思える光景だ。

コーラスが聴こえないからか、たじさんがカナさんの方を向く。カナさんは涙顔でうなずきながらキーボードを弾く。たじさんも一緒にうなずきながら手を振って歌う。見てる方もこみ上げてくるものがある、感動のフィナーレだった。

 

「Fai La Brava(reprise)」が流れ、BBガールズがステージ前に出てきてくれる。ライブ後もゆっくり交流してくれる。今日はお花見も兼ねた飲み会もあるぐらいだ。

繰り返しみんなにありがとうと言ってくれ、その度に温かい拍手が起きる。

 

そんな中、脳髄筋肉さんとのりじゅさんがケーキを運んでくる。今日はプロデューサー冴沢͡鐘己さんの誕生日。甲斐よしひろの前日だから覚えやすい。

ろうそくの火を吹き消した冴沢さんの挨拶がいい。

「まだこれは途中経過なのでね」

たじさんが「そうです! これから!」と応じる。

冴沢さんはさらに、「早く日本中に知れ渡るように、今後とも応援よろしくお願いします!」

 

僕は仕事で飲み会までいられそうにないので、チャーハンを注文して食べ、ちょっと早めに会場を出た。

木屋町通を桜がなくなるまで北へ行き、また南へ戻りながら桜を眺める。

 

去年のお正月、大喜利の噂を知ってラジオ「まだまだGIRLでいいかしら」を聴き、そこで流れた「恋してオムレツ」をいいと感じた。このBBガールズというお二人は応援できると思ったから、投稿を始めた。

番組もいいし、曲も好きだし、カラオケにも入ってる。CDを買い、ライブにも行きたいと思ったが、結局初めて生で曲を聴けたのは3月。春の大喜利大会になった。

その日、翌週の土曜パームトーン劇場に来たいから、たじさんに終演時間を確認した。たじさんは意外にも、「今日より人少ないかもしれませんけど」と弱気な顔を見せた。

結局、去年3月のライブには、まあまあの人が来た。お二人はMCで「大喜利にだけ人が来て、ライブには来てくれなかったら、私たちの歌は要らないと言われてると思うところだった」と、ほっとした様子だった。

それがどうだ。今日は満員だ。BBガールズのすごいライブにふさわしい。

 

来月また来てくれたらいいな。今日来れなかった方も含めて。

そして、人数がどうあろうとも毅然としていつも通りの、あるいはそれ以上のライブを見せてほしい。これまでずっと期待に応えてきてくれたから、BBガールズなら大丈夫。

 

 

2019年4月6日 event space PALMTONE

 

もっとオールドファッションド

人生はミラーボール

ガーディアン・エンジェル

夜明けの月に

透明な水

ひらいたトランプ

恋してオムレツ

さくらさくら ~ traveling

春よ、来い ~ Time goes by

離れてもそばにいて

クランベリージャム

陽だまりの鳥

風のファンタジスタ

それはウソじゃない!?

平成ガール

まだまだGIRLでいいかしら

 

苦い林檎酒

境界線はいらない

 

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