CRY

Twitterには長いやつ

甲斐バンド BEATNIK TOUR 2001 ーDo you beat?ー

2001年7月12日(木) グランキューブ大阪

 JR福島駅には、会場までの案内表示がなかった。先に乗り込んでいる甲斐友に 電話して、道順を聞く。ネットで調べたら徒歩10分て書いてあったけど、探しながら になったせいか、もっと歩いた気がした。大きな橋の向こうに聳えるのが大阪国際 会議場。その5階から9階が、グランキューブ大阪メインホールだ。

 会場ロビーは広い。客席への入り口がわかりにくくて、ちょっと変わった感じ。 
 ステージは低く、横幅は狭め。甲斐との距離が近く感じられそうや。客席は縦に 長い。僕の席は、10列目のど真ん中。ほぼマイクスタンドの正面や。感激。

 開演前から客が熱い。拍手。「甲斐ーっ!」の声。今夜は最高のライヴになるぞ という予感がしてくる。 
 楽器のチェックで、NHKホールと同じようにパーカッションが1音だけ鳴らさ れた。あの「破れたハートを売り物に」を思い出す。ギターの音には「思春期」を 連想した。

 最後のBGMとともに立ち上がる。手拍子。興奮。期待感。 
 前奏で歓声と拍手が弾ける。4本並ぶマイクスタンド。オーディエンスの 手拍子が始まる。みんなが手を打つものすごい音が、一体感とともに響く。 JAH-RAHのプレイが始まっても、それに負けないビートを叩き出す。 俺らの手が、パーカッションなのだ。 
 甲斐の影が左からマイクスタンドの前へ動くのが見えた。照明が当たる。さあ、 大合唱や。 
 「破れたハートを売り物に」に続くは、「ちんぴら」。「あー あー あー」と 歌いまくる。客席の声がでかい。みんなこういうの大好きなんや。 
 そして、「ダイナマイトが150屯」!今日のドラムは広島とNHKホールの 中間の速さ。これもまた絶好。 
 歌い、手を打ち、甲斐の名を叫び、歓声をあげ、拳で空を突く。ほんまに ほんまに、このオープニングはものすごかった!

 「今夜も目一杯やります。やるよ!」

 「眩暈のSummer Breeze」 
 今日の席、今日の会場は、ライティングがきれいに見える。 
 サビの最後で、光が真ん中から左右に分かれ、それからステージ全体が閃光に またたいた。

 「次の曲は、「BIG GIG」とかでやって。花園ではやってないのかな。 その頃はなかなかうまくいかないなあ、と思ってて。ひさしぶりにやったら、 よかったんで」 
 そう言って始められたのは、「シーズン」だ。 
 84年のツアーでも、よかったけどなあ。ともかく、このツアーの「シーズン」 は、とびきりいい。

 「ナイト ウェイヴ」 
 甲斐は「ウーウーウーウーウーウーウーウウー」とオリジナル通り歌ったり、 「ウウーウウ ウーウウ ウー ウーウウー」と歌ったり。自由に音の中を泳いでいる ような感じで、見ていて気持ちがいい。 
 間奏で坂井選手が前へ出てくる。客に正対する形ではなく、身体を斜めに構え ながら。ノってて、いいぞ。「夏の轍」のトークCDで言ってた、 ベースを弾きながらぐるぐる回る姿も、見てみたいなあ。 
 最後の歌の部分で、甲斐がいちばん前まで出てくる。僕の方へ真っ直ぐ 近づいて来る。甲斐が客席の中にまで下りてきたかと思えたほど。そんなふうに見えた のだ。甲斐が近いと感じられて、ぞくっとしたなあ。

 「テレフォン ノイローゼ」がすばらしかった! 
 最初の「出会ってひと月めー」を、タイミングをずらさずオリジナル通りに 入ったのに、まず感激。ギターに強弱をつけ、音を減らしたり、観客の手拍子だけに のせて歌ったり。このメリハリがたまらない。最高や。

 「円舞曲(ワルツ)」のコーラス隊は、「手裏剣トリオ」と紹介された。 
 「知ってる人も知らない人も、歌わないように」と甲斐が言う。 
 「これまで1回も(自分とコーラスが)合ってない。 コーラスが聴こえる方がいいだろ?」 
 観客の歌声なしの「円舞曲(ワルツ)」は、たしかにめっちゃよかったあ。 ハーモニーを堪能した。 
 前野選手は、間奏を弾いて戻ってくるとき、キーボードの台の端を真っ直ぐ 進んできた。あそこ通れるようにしたんやろうな。

 ここで一郎が登場。 
 甲斐の「首からバスの定期ぶら下げてた頃から知ってるんだ」という発言に、 一郎がウケる。 
 「あれ何色だった?みんなが黄色使ってるから、他の色にしたんでしょ?」と 甲斐がその話を続け、「説明しないとわからないじゃない」と言って一郎が 「俺たちの頃に初めて、黄色が注意を引く色だってなって、交通のいろんなもんに 使われだしたんですよ」と客席に話しかける。 
 「教科書が無償になったのも、1コ下の一郎の学年からなんだよね。どうなって たんだろう、あの頃のニッポンは」と甲斐が笑った。

 NHKホールでは「STARS」が聴けた、日替わりの1曲。きっと新曲 やろうから、この歌だと予想していた。 
 「VIOLET SKY」 
 一郎のアコースティックギター。激しく。「そう言い聞かせ」のところで 入るタイミングと音にしびれる。 
 「夏の轍」では多くの楽器がつくり出しているリズムを、甲斐がハーモニカで 表現する。これがいいねんなあ。 
 シンプルな灯りの下、甲斐と一郎だけの「VIOLET SKY」。かっこ よかったあ。聴けてしあわせ。

 右手から大森さんが現れる。客席に向かって、深々と一礼。歓声がひときわ 高まる。 
 ここから後半のスタート。熱狂している大阪のオーディエンスが、 さらに興奮していく。 
 特にすごかったのが、本編ラストの3曲。 
 「氷のくちびる」から、もう跳ばずにはいられない。すごいのだ。 
 「翼あるもの」では、甲斐が脱いだシャツを振りまわすアクション。あの間奏を さらに盛りあげる。 
 ここで続けて「漂泊者(アウトロー)」だ!あの「漂泊者(アウトロー)」 なのだ! 
 跳びあがり、歌い、拳をあげる。客席全体がものすごい熱気のなかで動いてる。 
 甲斐は間奏で台に上がり、そこからマイクスタンドへ突進してくる。すごい 勢い。腰からマイクを抜いて「誰か俺に」と歌い始める。 
 客席の熱狂は続く。何というあつさ。ほんまに今夜はすごいぞ。 
 後奏。「キューキュキュルキュ キューキュキュルキュ」と軋んだ音が ぐるぐるまわっている。重厚に曲が果てる。 
 あと1曲激しい曲が続いたら、倒れていたかもしれない。そう思うほど、 あつかったのだ。今年の夏は、「RED SUDDEN-DEATH TOUR」の 94年並みの猛暑になるとか言うてるみたいやけど、この「漂泊者(アウトロー)」の 時ほどあつくなるわけがない。間違いなく、今日がこの夏いちばんのあつさや。これを 思えば、気温がどれほど上がろうが、どうってことはない。

 アンコールも盛りあがらないはずがない。「HERO」や!「観覧車」や! 
 「観覧車」のイントロで、甲斐は身体を屈めて、バスタオルを折る。それを 右肩にかけてのヴォーカルや。 
 今夜のギターもいいぞ。そして、虹色のライトが舞うなか、甲斐が オーディエンスに挨拶をする。

 2度目のアンコール。 
 「途中歌が聴こえないとか、いろんな旅路があったけど」 
 ほんまに今日の客の歌声はすごかったもんなあ。強力なノリのまま、最後の曲に たどり着いた。 
 「こんなにたくさん来てくれて、感謝してる。サンキュー」

 「100万$ナイト」 
 静まった会場に、甲斐のバラードが響く。 
 ドラムが入って演奏が大きくなると、会場の床が揺れ始めた。曲の激しさを 体感している気になる。揺れる床の上で、甲斐を見つめ、その声を聴く。 
 そして、ミラーボール。光。甲斐の咆哮。

 メンバーが前へ出てきてくれる。松藤が全員を呼び、サポートの4人もそこへ 加わった。8人が一列に並んで、つないだ手をあげ、また、頭を下げる。 
 これにも感激したなあ。このツアーで初めて見る光景や。

 ああ、ほんまにすごかった!いくら書いても足りひんなあ。大阪のノリは 最高や。地元やということは抜きにして、心の底からそう思う。 
 指を上にした両手の甲をこちらに向けて、「来いよ!」と煽る甲斐。思い切り 歌う客。 
 この心地よさ。大阪のライヴは格別やなあ。今夜のことは忘れへんで。

 

2001年7月12日 グランキューブ大阪

 

破れたハートを売り物に 
ちんぴら 
ダイナマイトが150屯 
きんぽうげ 
フェアリー(完全犯罪) 
眩暈のSummer Breeze 
シーズン 
ナイト ウェイヴ 
ビューティフル エネルギー 
BLUE LETTER 
テレフォン ノイローゼ 
円舞曲(ワルツ) 
VIOLET SKY 
安奈 
裏切りの街角 
LADY 
嵐の季節 
氷のくちびる 
翼あるもの 
漂泊者(アウトロー

 

HERO 
観覧車’82

 

100万$ナイト