CRY

Twitterには長いやつ

甲斐よしひろ ROCKUMENT IV -HOME COMING-

1998年3月15日(日) パワーステーション

左横のスペース最後尾に陣取る。昨日甲斐は曲順を変えると言った。が、言い方から ジョークだとわかりきってた。あの完璧な曲順でもう1回見たい。

キーボードからすぐハーモニカが入る。落ち着いて聴いてみれば、レコードどおりの前奏 だった。「荒野をくだって」以外の何物でもない。やはりいい。歌も太鼓もハーモニカも。

「MIDNIGHT」の前奏では、逆にどの楽器もぎりぎりのところでレコードのあの フレーズを出さない。 
「BIG GIG」では2番のみ「街角に声も出さず泣くこーえがあ」とうたっていたが、 昨日今日ともすべて「真夜中に声も出さず・・・」やった。

他の人に書いた4曲の紹介。 
「ある瞬間から君たちもこっちも解放されるんだけど、それがいつか教えない(笑)」 
「ナイト スウィート」で甲斐が何度も跳びあがる。今まで聴いた「ナイト スウィート」 のなかで1番よかった。歌詞もよく聴きとれる。「仮面」もそうだった。

「ランデヴー」 やはり有吉じゅんのよりもゆっくりだ。最後は「ランデーヴー ララ、ララ・・・」と繰り返す。

静かな歌い出しからリズムにのり、3番できれいなピアノソロ、そしてサビへという流れ がしっくりくる「見えないてのひらで」。いい曲やなあ。

HOME COMINGというテーマでの選曲について。 
「家庭をロックンローラーがうたうなんて保守的でだめだよね。でも、保守的 じゃなく、その向こうに時代とか厳しさ、せつなさが見えるものもある。不幸せだったら いいってもんでもないし。HOMEというキーワードでこわい詞さがしたら、ぞろぞろ あるわあるわ」 
「今日はよくしゃべってるよな」とかいいながら、小室とのコラボレーションの話題へ。 
「昨日MCで全然反応ない部分があって。小室君とのとこなんだけど。夜中酒 飲みつつ、なんで黙るのかなってじっくり考えたんだ。で・・・ああ、結局、俺のこと心配して くれてるんだなって」 
甲斐が笑い、客席もほほえむ。 
マークが夜毎ワインを持ってきて3人で飲み、そのときの話題がそれぞれが書く 詞に反映されて行くという話から、小室とのつながりは音楽的にもプライベートでも 強くなりつつあるのだとわかる。 
「見てろよ!おお、これはすごいとひれ伏すか、ほら思ったとおりとなるか、勝負 だ!表現する者はひかれるものがあったら出ていって勝負しなきゃ」

「霧雨の舗道」 
雨に濡れる舗道の情景が脳裏にうかんでくる。高校生の頃シュールリアリズムの 展覧会で見た絵を思い出す。車の灯りが濡れた夜道ににじむ雨の街。 
ラストはドラムソロへ。タン!タン!と音を響かせてフィニッシュ。

「復讐戦」という言葉が今日も。 
「赤い靴のバレリーナ」 
「見知らぬ電車で 見知らぬ海へ 見知らぬ駅まで 切符を 買ーった」と昨日順序 バラバラにうたった部分も普通にうたう。

さあ、「解放」の時が来た! 
出てきたときから昨日よりハデな感じの中山加奈子がよく跳ぶ。拳をあげる。 「フィンガーッ」というコーラスにも全て参加。気合い入ってるぜ。ラストは中山の ギターソロ。「ブラック is no.1」のようなかんじ。 
「加奈ちゃん!」と騒ぐ女の子の一団がある。甲斐は「いいよ。あと3分やって」と 声をかける。「しゃべらずに続けよう。ロックンロールを」

一大ロックショウの喧噪ふたたび。 
「特効薬」 
「アンノンスタイル」を「JJスタイル」と歌うROCKUMENT IVヴァージョンの歌詞だ。 
繰り返しでブレイク。甲斐と中山がひとつのギターで歌う。「おいらを起こしてよ  その手で」というのもニューヴァージョン。

「これはもうタイトル言わなくていいね。イントロ聴いたらわかるだろう」 
「ブライトン ロック」 
燃えあがる。中山も2番の歌詞完全。2人が背中合わせになり「ブライトンロック  答はどこだ」を4回。

ゲストが消えたステージに電子音から突如強力な本性を現し「野獣」がうなる。 
小室とのプロジェクト、いけるかもしれない。こんなに熱い血の通ったものができる なら。

客が大合唱するナンバーが続く。 
「ナイト ウェイヴ」では甲斐がコーラス部分以外でも客席にマイクを向けてくれる。 「こーのはー」のとことか。

「ラヴ マイナス ゼロ」 
「だけどおーれを とらえてはなさ   ないい・・・」 
情感を込めてうたわれたこの1行が胸に沁みる。

アンコールも昨日と同じ曲順。完璧としか思えんもんなあ。 
「みんないっしょにうたおう。こわい詞だから」の言葉に声を合わせる「ドキ ドキ」。 
そして泣かせる「最後の夜汽車」。 
曲が終わると拍手の雨。アンコールで「甲斐ーっ!」と叫ぶ声がめっちゃ増える。

「自分が帰って行くべきところ。場所だけじゃなく、目を閉じたときにうかんでくる顔。 聞こえてくる声。生まれ育った街とはかぎらないそういう場所、人、もの。 そういうのが自分にとって大切なんだと思う」 
ジョージのギターから、あまりにも痛切なバラードがはじまる。 
「CRY」 
最後のサビも「うたいかける君の姿もなく」ではなく「うたいかける君への歌もなく」 とうたう。これはROCKUMENTⅣを通してずっとそうだった。これからずっとこう うたわれていくのだろうか。 
音楽がたかまる。甲斐が吼える。「CRY! CRY! CRY!」と叫ぶ。 ドラムスの連打。それにのせて「くらあーいっ」と最後の声をあげる甲斐。フィニッシュ。

どうしようもないせつなさに襲われる。「CRY」を聴いた直後としては、ごく当然のことだった。

 

1998年3月15日 パワーステーション

 

荒野をくだって 
MIDNIGHT 
ナイト スウィート 
仮面 
ランデヴー 
見えないてのひらで 
霧雨の舗道 
赤い靴のバレリーナ 
フィンガー 
特効薬 
ブライトン ロック 
野獣 
パートナー 
LOVE is No.1 
ナイト ウェイヴ 
ラヴ マイナス ゼロ

 

ドキ ドキ 
最後の夜汽車

 

CRY