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Twitterには長いやつ

甲斐よしひろ Welcome to the ”GUTS FOR LOVE” Tour

1996年2月10日(土) 名古屋市公会堂

 名古屋市公会堂は、愛知勤労会館と同じ公園内の、クラシカルな建物やった。 
 僕の席は、1階の後ろ。そのあたりは、天井がめっちゃ低かった。2階席の下にあたる のだ。視界の上端に天井が入りそう。視野が狭いうえに、遠い。きっと、2階の方が見やすい のだろう。 
 それと、とにかく寒い。後ろから風がビュービュー吹き込んでくる。1階席に入る扉も、 表の入り口も開けっ放しなのだ。外の寒さがまともに襲ってくる。

 今日もやっぱり、そうやった。名古屋は、始まったらめちゃくちゃに盛りあがるのに、立つ のが遅い。なんでなんやろう? 
 「ダイナマイトが150屯」から大合唱。ほんまにすごい声。僕の席は天井のせいで音が よく届かないのでは、と心配していたが、天井にスピーカーがあって、大音量の演奏が降って きた。音楽も、周りの歌声も、めっちゃデカい。 
 「ダイナマイトが150屯」「絶対・愛」「きんぽうげ」のオープニング3曲は、本当に歌い まくり。気がついたら、さっきまで寒かったのが、すごい汗。

 「時の人」の2番が終わると、甲斐は「ハアーッ」と叫んだ。CDとはタイミングをずらして いる。 
 後ろを向いて、裾を持って振りまわしたりするアクション。正面に向き直ったときには、 サングラスは外している。それからラップへ。 
 最後の部分に耳をすましていた。すると、いきなりはっきり「ブラッド・ピット」という音が 飛び込んできて、ちょっと驚いた。確かに「H Jungle with t」とも言っている。

 「風吹く街角」のライトに変化が。あの赤と青のやつ。色の変わっていく速度が、昨日 より速くなってる。ステージの大きさに合わせているのか。

 「今年になるのを、早く早くとひたすら願ってた。10月に「GUTS」をつくり終えてから、 早くツアーに出たいと思ってた」 
 そういう言葉から、MCははじまった。 
 静岡の客の緊迫感はすごかった、ということ。 
 レコーディングで、甲斐とジョージに同じ趣味があることがわかった。洋服に飽きると、 パジャマを着てスタジオにやって来る趣味である。 
 「なんで野茂見て「GUTS」と決めたんですか?」というアナウンサー。「それぐらい自分 で考えろ!」 
 初めて新幹線で乗り過ごした話。 
 小さい子どもが声をあげると、「ごめんね」と言っといて、すぐその後に「コノヤロー、 ガマンしろ、そんなものは(笑)」

 「「となりのトトロ」とか、「ソナチネ」とかやった久石譲という友人が・・・」 
 「スマイル」の前に必ず言うこのコメントも、名古屋から定着した。

 「スマイル」が美しく終わると、いきなり激しい音。昨日とちがう! 
 「ポップコーンをほおばって」

 続いてまた曲順が変わってる。「観覧車」や。 
 星と、青い明かり。なんでやろう。初めて見たわけじゃないのに、涙が出そうになる。 切ない。 
 甲斐は、演奏が終わる寸前、1人で「ウォーオオオオオー」と叫び声をあげた。 
 音が消えると、もう一瞬、星が姿を見せる。

 「これは知ってるかな。みんなに助けてもらおう」 
 「安奈」。今日は、甲斐1人で。 
 うたい方も、まるで昨日とはちがっている。サビ前は、昨日と逆に大きくうたう。 「2人で泣いた夜を・・・」は、すごく静かに。「安奈、お前にあいたい」も静かに弾き、客に うたわせる。 
 「1行でも自分の心にひっかかりがなくなると、その曲はしばらくやめる。でもこれは、 冬とか夏とか関係なく、部分部分に、自分に訴えかけるものが」

 ダウンタウン松本の武道館を見に行って、辰吉と仲良くなった。このエピソードは 名古屋だけ。 
 突然、僕らのそばの天井スピーカーの音が切れた。MCがほとんど聞こえない。周り の客がざわめきかけたけど、音はすぐに戻った。

 「昨日までは何やるか決まってたんだけど、ちょっと飽きたなあと」 
 思わず笑ってもうた。2日目でもう飽きたんか? 
 「その街、その会場に行かないと、わからないんで」 
 「昨日何やったんだっけ?」ジョージに聞く。 
 右の方で「破れたハート!」と叫んでる客がいる。あほか。昨日見てない人にばれて まうやんけ!せっかく甲斐が、曲名わからんようにしゃべってんのに。 
 ジョージが「裏切りの街角」のメロディーを、ちょっとだけ弾いてみせる。途端に会場 じゅうが大歓声。 
 「やらないって」と甲斐。「こいつらちょっとでもやると絶対聴きたがるんだぜ」少し 笑いながら。

 うたわれたのは、「橋の明かり」。ジョージのアコースティック ギターのみ。 
 このヴァージョン、ほんまに泣けるのだ。

 甲斐が松藤の名を口にするや否や、われんばかりの大歓声。ものすごい盛りあがり方。 
 「来てないって。ああ、びっくりした」 
 昨日聞いた僕も、こんなに強烈な反応が起きるなんて思ってもみなかった。松藤の 名前出しただけやのに。 
 「今、そんなふうに言ってないよね?」ジョージにたしかめてる。ほんとにびっくりして いる。 
 「そんな、自分の都合いいようにできんて」思わず博多弁や。 
 害バンドのライヴは、「いずれ小さな町の場末のところで。こんな小さな看板で。この 辺りだったら、豊橋?」

 甲斐がギター弾きだして、やめる。 
 「そうか。新たな・・・」と言って始まったのが、「破れたハートを売り物に」のニュー ヴァージョン。 
 いきなりアカペラでうたい出す。黄昏色のライト。あたたかいハーモニー。めっちゃ、 いい! 
 すぐに大きな手拍子が起こったが、僕としては、ない方がよかった。 
 「あの雲を・・・」で甲斐が弦を弾きはじめる。まだ、ごく静かな、奏で方。次のサビから 盛りあがって行く。ここまでは、甲斐の歌声だけを聴いて、浸っていたかった。けれども、 そんな希望は、名古屋では通用しない。はじめから終わりまで、ずっと大合唱やった。

 「レディ イヴ」のイントロに合わせて、頭上高く伸ばした両手を「タンタン タタタン」と 叩いている女性ファン2人組が目についた。なかなかいい振りや。 
 今日はやけに、ピンクのライトが印象的。

 ここでやってくれたか。「嵐の季節」 
 まわりのみんなが感動してるのが、伝わってくる。今日は拳のあげ方を、回数の 少ない甲斐バンド方式にした。なぜか、そういう気持ちになったのだ。 
 昨日より繰り返しが1回多い。甲斐がドラムをとめて、客の歌声だけにする。すごい 声。みんな思いっきり歌ってる。いいぞ。

 2回目のアンコール。甲斐は、「らせん階段」を、とても静かに弾く。今夜のアクセントに なった。大盛りあがり大会になったからこそ、この曲を静かにうたったのだと僕は思う。 
 最後にもう1度、「港からやって来た女」で大騒ぎして、名古屋の熱狂もおしまい。

 たった1日で、まさかここまで変わるとは。「ポップコーンをほおばって」「観覧車」「嵐の 季節」の曲順が変わり、「安奈」と「破れたハートを売り物に」はニューヴァージョン。 日替わりアコースティック コーナーまでできて、うれしいかぎりや。 
 曲順を変えただけあって、流れは今日の方がよかったと思う。昨日は、「嵐の季節」 「ポップコーン・・・」「安奈」「破れたハート・・・」と、盛りあがったと思うとバラードが入り、 次の曲はまた大合唱になるという急激な展開やった。そこもまた、初日らしくてよかってん けど。 
 今後は名古屋の構成で行くんやろうけど、そうしたら、あのアコギ2本の静かな 「安奈」は、静岡だけということになる。あれは幻の名演奏ということになりそうや。

 もう居ても立ってもいられなくなり、「やっぱり広島も行く!」と決意。仕事は休ませて もらおう。夏以降働きづめやってんから、いいやろう。 
 その前に、明日は朝から3月のチケットを取りにチキンジョージへ行かなくては。

 

1996年2月10日(土) 名古屋市公会堂

 

ダイナマイトが150屯 
絶対・愛 
きんぽうげ 
時の人 
風吹く街角 
スマイル 
ポップコーンをほおばって 
観覧車82 
安奈 
橋の明かり 
破れたハートを売り物に 
マイ マイ マイ 
レディ イヴ 
嵐の季節 
風の中の火のように 
翼あるもの 
漂泊者(アウトロー) 
HERO

 

GUTS

 

らせん階段 
港からやって来た女