CRY

Twitterには長いやつ

甲斐よしひろ ROCKUMENT

-Guitar of Friends-

 

1995年5月31日(水) パワーステーション

 時間通りの開場。今日は正面から見てやる。 
 番号の割には、マイクスタンドの真っ正面がとれた。6列目でけっこう近い。 
 はじまる前からよく声がかかる。いいぞ。 
 暗いステージに、青い光を浴びたマイクスタンドが主を待っている。 
 スクリーンに白黒の映像。歓声が噴き出す。 
 甲斐は、今日はまだギターをかけていない。鏡の前に全員が集まりだす。 横一列にメンバーが並んで、写真撮影。フラッシュが光ると、思わず客席から拍手。 もう1枚撮ってから、甲斐が部屋を出て、やって来る。大きな歓声と悲鳴。叫び声。 甲斐が途中でギターを受け取る。拍手が大きくなり、やがて手拍子となる。手拍子と歓声 の渦巻くなか、甲斐がステージに足を踏み入れる。

 「アジテイター」 
 ハーモニカが効果をあげている。ヒューヒュー、声がとぶ。今日のシャツは 光沢のある青。きっと、武道館のアンコールと同じやつ。

 「電光石火Baby」 
 猛烈な盛りあがり。歌いまくって大騒ぎ。 
 甲斐、3番のはじめを2番と同じく「貨物列車が 頭をかけめぐるー」で出てしまう。 そのまま歌い続け、「彼女の毒が身体にまわりい・・・Shock!Shock!Shock  to meーー!」と、合わないようで妙に合ってるようなニューヴァージョンの歌詞に なった。もちろん今日も「ベベベ ベイベーッ!」言いまくり。

 「ちんぴら」 
 「あーあーあー・・・」のとこでは客によっていろんな反応がある。甲斐は初めの 「あー」で客席にマイクを向ける。それで最初の「あー」だけをずっとのばしてハモッてる 客もいる。また、甲斐と同じとこだけ歌う奴もいる。僕は3つの「あー」も、あとの歌詞も 全部歌いどおし。 
 「ちんぴら」、格好良いなあ。またやって欲しい。

 キーボードが鳴る。メッケンのベース。このイントロではベースが目立っている。 だんだんわきあがってきた演奏が頂点に達し、コーラスが入る。 
 「シーズン」 
 さわやかできれい、でもちょっと悲しげな青緑のライティング。ど真ん中やから 照明の様子も、甲斐の表情もよく見える。よかったでー「シーズン」も!

 「ブラッディ マリー」のイントロでは、ものすごい歓声。みんなめっちゃよろこんでる。 
 赤にオレンジのライトも混ざっている。 
 そして、「血まみれマリーは・・・」から完全に真っ赤。 
 「手の中にあるグラスを~ 見つめたぁ ときー・・・ぼくーの 僕の 涙が 光ってたあー」というニューヴァージョン。 
 深く心に染みる歌でした。

 最初のMCでは「昨日はスピーカーがトんじゃったりして遅れたんだけど・・・」と 切り出した。「どうせなら真夜中状態にしたかった」などとも。 
 この、ジョージと2人、イスにすわってからの2回目のMCでは、羽賀研二梅宮アンナのことを「やつらはカルトスターなんだ」 
 「さあ、ロックンロールをつづけようか」 
 客席からよろこびの歓声。拍手。 
 甲斐は続けてこう言った。「ブルージイなやつを・・・」 
 「GET!」がブルージイかあ?と不思議がっていると、別の曲のイントロが始まった。

 拍子を打つ音。ジョージのギターが重ねられる。 
 「地下室のメロディー」 
 情感がある。甲斐は3番で、「階段をのぼると 全てはおーわり・・・」とうたった。 
 キューワ~~ンというギターの繰り返しが響く。拍子を打つ楽器が演奏をひき 立てる。 
 やがて、拍子を打つ音もジョージのギターとともに消えた。 
 やると思ってなかったこともあったやろうけど、めっちゃよかった!

 さあ、ヤッチ登場。甲斐の左にすわる。 
 甲斐が顔をヤッチの方へ少しだけ動かして促すと、間髪入れずヤッチが 「幻惑されて」のイントロを弾き出す。一瞬も間があかない、ほんとにすぐだったので、 ちょっと驚いたぐらい。あれが2人の呼吸なんやろう。 
 昨日見られなかった、この曲での甲斐の表情に注目していたが、とても うれしそうでありました。

 「相変わらず、軽~い手の動きのヤッチです」 
 そう紹介されたヤッチは、すかさず甲斐のそばで両手をひらひらさせるポーズ。 
 「俺たちの心配をよそに、ツトムはストーンズの最終日はしっかり行ったらしい」

 ヤッチがギターを代えて、「月に泣く」。 
 昨日は最後のところをヤッチが歌ったと記憶していたが、今日は甲斐やった。 
 「ラーラララー・・・」では、2人とも負けずに声を出す。それぞれ、「オーッ」と 言ったり、ため息を聴かせたり、前歯を合わせて息を吸ったり、「トゥルットゥトゥトゥ・・・」 と歌ったり。技を見せていた。

 「今月は田中さんにお願いしたわけです」と甲斐が言い、「田中ーっ!」と声が かかる。 
 「Fever」が始まる。ドラムスに続いてヤッチのギターが入る。が、すぐに弾くのを やめてしまう。どうしてん?どうやら入るタイミングがつかめないようだ。立ち往生して いる。何度か弾こうと試みるが、やっぱりダメ。メッケンに尋ねたりしている。他の 楽器はずっと演奏を続けていて、メンバーたちは笑っている。えんえんイントロが 繰り返され、ようやくヤッチが入ると、客席が沸き、かえって盛りあがった。 
 「今夜君は1人かい」の前の間奏が長いのは、昨日とおんなじ。

 「絶対・愛」のイントロが始まると、後ろの客たちがどっと前に押し寄せてきた。 みんな興奮している。ぎゅうぎゅうづめ、めっちゃ窮屈。満員電車みたい。 
 手拍子するスペースもろくにない。「Hey!」と拳を突き上げるのにも、ちょっと 前から腕を胸の前にぴったりとくっつけて準備しておかないと、できない。 
 正面の席は最後までこんな状態やった。

 「嵐の明日」 
 甲斐がマイクスタンドを廻すのを久々に正面から見た気がする。 
 後奏がかなり長い。甲斐は後ろに下がり気味で、ヤッチとジョージが左右に 分かれて1番前まで出て来る。まず右端のジョージにスポットが当たり、ジョージが 弾きまくる。やがてスポットライトは左端のヤッチに移り、ヤッチの見せ場。思う存分 弾いている。相当気持ちを込めてプレイしてる。それが伝わってくる。

 ヤッチがステージを後にする。ひとつのヤマを越えた雰囲気。 
 「こういうシンプルな編成だと、1人入るとすごく大きいよね。どんどんよくなる」 
 昨日はここで甲斐の弾き語りやったけど、今日はバックが残っている。 
 「GET!」 
 スローなテンポ。拳をあげるときの感じで、確実にそれがわかる。 
 ズボンまさぐりポーズは、マイクスタンドごしに軽く。

 「ダイナマイトが150屯」 
 煽情的なリズムに盛りあがるが、まとまった手拍子は起きない。ちょっとタイミング がむずかしいのと、正面は混んでて手を叩くスペースがないからだ。リズムに合わせて 身体を揺すってる人が多い。

 また曲順が変わって、「恋愛平行線」。 
 後奏では甲斐がギターを弾きながら前へ。今日のかけ声は「Hey!ジョージ!」 やった。

 その次に「渇いた街」。僕にはこの順序の方がしっくりきた。 
 演奏の終盤からは、ドラムの叩く回数が倍増し、興奮。めっちゃノれる。

 「今日は本当にありがとう」と「漂泊者(アウトロー)」。バックで2つの光が回転 している。 
 今夜も「OH」の後、間があってから「COME O~N」

 「観覧車82」 
 甲斐は間奏で動きまわり、「若さで・・・」に入るところではマイクスタンドを 蹴って廻した。これも、よかったなあ。

 アンコール。甲斐コールがだんだん広がり、会場の手拍子が1つになる。その 中を、メンバーが位置につく。演奏が始まるまで手拍子は続いた。一体感がある。 
 「風の中の火のように」 
 会場一体の手拍子が続き、いい感じに盛りあがる。後奏。甲斐もヤッチも ジョージも気を入れてギターを弾いている。ヤッチは、一郎が「ポップコーン・・・」のときに 見せていた腕をぐるぐるまわして弾くのを何度もやっていた。思い残すことのないよう、 最後の曲を必死で弾いている。 
 演奏が終わり、甲斐がまた掌を差し出す。ヤッチがそこに伸ばした手を、今日は 握りしめた。 
 ジョージとも握手をし、左右の客席に頭を下げてからヤッチは行った。

 「今日は・・・昨日、今日と2日間、こんなにつめかけてくれて感謝してる。 6月も熱いお運びを」 
 気持ちがひしひしと伝わって来る。客席全体がそれを受けとめた。

 オルゴールのような、きれいで、小さなイントロ。ギターの響きが重なって、ゆっくり とした大きなうねりになって行く。 
 「火傷」

 甲斐がステージからいなくなってはじめて、両足の親指と中指が痛いのに気づいた。 ふくらはぎもや。ぎゅうぎゅうづめで、無理な姿勢を続けてたからやろう。でも、こんなん 去年の広島のこと思たら何でもない。血も出てへんし。 
 そんなことより、また次のライヴまでひと月も待たなあかんのか。早く、6月29日 になってくれ!

 

1995年5月31日 パワーステーション

 

アジテイター 
電光石火Baby 
ちんぴら 
シーズン 
ブラッディ マリー 
地下室のメロディー 
幻惑されて 
月に泣く 
Fever 
絶対・愛 
嵐の明日 
GET! 
ダイナマイトが150屯 
恋愛平行線 
渇いた街 
漂泊者(アウトロー) 
観覧車82

 

風の中の火のように 
火傷