CRY

Twitterには長いやつ

KAI FIVE RED SUDDEN-DEATH TOUR

1994年7月2日(土) フェスティバルホール

 会場に着いても待たされて、まずロビーのみの開場。やがて全開。 
 フェスティバルホールの真ん中あたりには、ボックス席がならんでいる。その1番 右端が僕の席やった。 
 BGMは、洋楽の静かなもの。 
 ジャズっぽい曲でオープニングを迎える。

 ドラムソロからの長い前奏で、意表を突いた「Fever」。激しく、妖しく、かっこいい。 甲斐は鮮明な青のジャケット。その中には黒の革のベストに白いシャツ。 
 2曲目は、前ツアーから序盤に歌われるようになった「幻惑されて」。 
 この2曲の間、甲斐はさかんにベースとドラムに気を配っていた。

 「今夜は思う存分、KAI FIVEを楽しんでってほしいと思います」との言葉の後、 「激愛(パッション)」、「絶対・愛」と続く。この2曲の並びは前ツアーと変わりない。 「激愛(パッション)」で、「ウォーオーオオオオウォーオオー!」と叫んだ後では、「絶対・愛」 の「ウォウウォウウォウウォウウォウウォウウォウウォウウォーッ!」というところででかい 声が出やすい。

 「TWO」で歌詞をトバしてしまう。 
 それを取り戻そうとするかのように、「涙のアドレス」では甲斐の声がよく通っていた。 気合いが入っている。このところ、大阪ではリラックスした感じのライヴが続いていたが、 今日はちがう。音のトラブルが多いせいもあるのだろうか。

 ツトム初のリードヴォーカル「君のいないこの街はまるで名も知らぬ街を歩くようだ」。 緊張ぎみで、声の伸びがない。高い方はヤッチが歌っていたが、ヤッチのコーラスがない 部分では、ツトムは頼りなさそう。

 ミニ編成コーナー。 
 「今夜は、1月にコンサートができなかった、因縁の大阪です。非常に、来られて、 うれしく思います。ほんと今日みんな来てくれて感謝してます」 
 ワールドカップとコミュニケーションの話が終わり、明るいイントロの曲が始まる。 「Fever」の抜けたこのコーナーで、どの曲をやるのだろう?イントロを聴いても何か わからない。・・・・・・と、突然、演奏が停まる。 
 「はい。あげる」と言って、ギターのチューニングをさせなおす。FIVE初の大阪ライヴ のときも、同じことがあったなあ。あのときは、「破れたハートを売り物に」と「らせん階段」 の前やった。 
 プールの話をしている途中に、なおしたギターをひざまづいて渡そうとするローディ に向かって、「君は国定忠治(のコント)か?!」

 やりなおした曲は、CDより速いテンポの「影」やった。 
 終わってから、「いいよー、すごく、みんな」と甲斐が客の支えに感謝。 
 「ほんとは、表現のときに助けてもらっちゃいけないんだけど、やっぱりね、みんなの 力があった方がいいよね」 
 この言葉はうれしかったなあ。

 続いて「ラヴ ジャック」。CDヴァージョンも好きやけど、激しい曲やのにドラムの リズムは案外ゆっくりというちょっと変わった感じがしてた。この編成では、すっきりとした 印象。 
 「いいなあ・・・バンド!っていう感じがして」

 メンバー紹介。河野選手からと見せかけて、武藤さんから。

 儀式についてのコメント。てっきり島健の結婚の話でもするのかと思ってたら、この ツアー初日の前日に、人の死に目にあってきたという。楽しいときにそういう話を聞くと、 余計に悲しくなる。「観覧車」でみんな大合唱し、叫んで盛りあがったけど、僕はMCの 余韻で悲しかった。

 「多奈加ヤッチが歌ってくれる」と言い残して、甲斐が去る。 
 初めて聴く「青二才(ナイーヴ)」 
 これで、アルバム「嵐の明日」の曲は全て生で聴いたことになる。今日は、休止前 ということで、もっと総集編みたいになるのかと思ってたけど、「嵐の明日」が中心やった。 やっぱり、「3枚目で「KAI FIVE」の匂いが出来てきた」とヤッチが言うように、メンバー には「嵐の明日」が代表作なんだという気持ちが強いのだろう。ファンの中には、 「幻惑されて」がFIVEの音だ、という人も多いようだ。それは、甲斐のソロ時代のアルバム との差が激しかったからだろう。でも、あれは言わば、甲斐よしひろ+今川ツトム+多奈加 裕千の音だったのではないだろうか。当時、あれほどハードなアルバムを発表しながら、 3人は「ハード ロックではない」と主張していた。彼らの目指した音楽が、「嵐の明日」で ついに表現できたのではないか。 
 誤解のないように書いておくと、僕はもちろん、「幻惑されて」も「ラヴ ジャック」も 大好きである。 
 ただ、FIVE初ライヴである「弥生の里フェスタ」で、オープニングとアンコールに2回 演ってくれた「グッド フラストレーション」がなかったことからも、そう感じた。

 暗転後もヤッチが真ん中に。甲斐が出て来て「月に泣く」 
 終わると、いつものようにヤッチ深々と一礼。

 「知ってたら歌ってね」 
 甲斐が歌いはじめると、大阪久々の「嵐の季節」に大歓声と拍手。大合唱。拳。 めっちゃ盛りあがる。 
 ここで「氷のくちびる」と「翼あるもの」 
 一転して甲斐バンドの曲が続き、すごい熱気。 
 「氷のくちびる」の前半では、甲斐が歌詞をとばしてしまったが、客が歓声と歌声で 支えた。 
 「翼あるもの」は、いつもながらすごくよかった。僕も夢中で歌った。

 「翼あるもの」の最後の最後でトラブル。ヤッチのギターがおかしいらしい。ローディが 前後のコードなんかをいじるがなおらず、ヤッチはギターを投げつけるポーズ。本気で 怒ってた。ギターを換えたが間に合わなかった。甲斐は、気付いていたと思う。

 「風の中の火のように」 
 1番を半分ほど歌ってストップさせる。音の問題なのか、ヤッチのことなのか。 とにかく、ここへ来て演奏を停めるということにこだわりを感じる。トラブルも、生だからこそ。 
 客が声援を送るなか、もう1度「風の中の火のように」

 「そばに1人、自分の目をきっちり見つめて、見つめられる相手がいるだけで、全然 違う気がするし、そういうものが非常に、大事なんじゃないかなあという気がします。・・・ ・・・最後の曲になります」

 「嵐の明日」 
 甲斐は顔を上向き加減にして歌うと言われているが、それは違った。背骨がきしむ くらい、身体を反らせて、腰から歌っているのだ。横に近い角度の右端の席から見ていて、 よくわかった。 
 すさまじいバラード。ステージに見とれていると、終わった瞬間、KAI FIVEのロゴ が入った幕が一気に降りてきた。 
 すぐに手拍子。アンコール。

 幕の裏をメンバーが戻ってくる。幕はそのままで、ドラムのイントロ。幕がサッと 落ちて、メドレーの始まり。 
 ヤッチ、ベースの榎本選手、そして甲斐が同じ動きをしてみせたりしながら、 「どっちみち俺のもの」 
 さらに「夜にもつれて」。もう、このへんではジャンプしまくり。 
 そして、大好きな「ランデヴー」。「Ahー」の掛け合いは最高の出来。小さな声から だんだん盛りあげて行くのも初成功。これは、前のツアーの名古屋や府中では上手く いかなかったのだ。地元・大阪のノリが誇りに思える。 
 僕は「観覧車」あたりから声がとんでしまい、それでも歌いまくったせいか、ア段の 音を出すとき口が全開してしまうという状態になっていた。口の大きさが自分で調節 できない。この掛け合いのときは、口ひらきっぱなしで、もう閉まれへんようになったのか と思った。オ段のときは大丈夫やのに。あれは何やったんかなあ。 
 「報酬」でももちろんジャンプし通し。

 2度目のメンバー紹介に続いて「漂泊者(アウトロー)」 
 右端ということで、心おきなく、垂直跳びのかぎりに跳んだ。もうフラフラ。甲斐が プールで鍛えるのがわかる。 
 2回目のアンコール。ものすごいKAIコール。叫び続ける。

 「壊すことは意外に簡単だったりするんだけど、何かを残して行くということは、実は 非常にむずかしいことでね。期限なしの休止に、KAI FIVEは入ります。また、ショート するような出会いがきっと、あるはずだから、そのときまでは待っててほしい」 
 ステージの上から、はっきりとした休止宣言。 
 「涙を残してあげられるけど、笑顔も残さないとね」と言って、「破れたハートを 売り物に」 
 今まで思ってたよりもずっと重く、休止という事実がのしかかってくる。最後に 「破れたハート・・・」なんて、解散の雰囲気や。再びしんみりしてしまう。 
 大合唱。「チュルルルル」という甲斐の声。余韻を残して、演奏が終わる。 
 ノリのよかった観客たちに感謝するように、甲斐は長い間声援に応えてくれた。 ヤッチはいつものおどけた仕草。

 BGMは「嵐の明日」。手拍子が長く続く。が、最近は客の追い出しが早い。 イベンターは、もっと余韻を楽しめるようにするべきだ。 
 座って、「嵐の明日」を聴く。 
 今日は右端やったから、ヤッチの動きがよく見えた。ヤッチの存在感はデカい。 甲斐がソロ ツアーをやるときギタリストはどうするのだろうか。 
 「甲斐さんの隣はオレだ、と思ってもらえるようにならないと」とヤッチは言ってた けど、それは既に達成されていると思う。ツトムも同じだ。

 グッズは会場の外で売ってて、すごい長蛇の列。パンフとTシャツ2枚を買う。白の 長そでは売り切れ。これからこの、黒とグレーのTシャツでツアーをまわるぞ! 
 さあ、次は中3日、広島や!

 

1994年7月2日(土) フェスティバルホール

 

Fever 
幻惑されて 
激愛(パッション) 
絶対・愛 
TWO 
涙のアドレス 
君のいないこの街はまるで名も知らぬ街を歩くようだ 
影 
ラヴ ジャック 
観覧車82 
青二才(ナイーヴ) 
月に泣く 
嵐の季節 
氷のくちびる 
翼あるもの 
風の中の火のように 
嵐の明日

 

どっちみち俺のもの 
~夜にもつれて 
~ランデヴー 
~報酬 
漂泊者(アウトロー

 

破れたハートを売り物に