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Twitterには長いやつ

BBガールズの土曜パームトーン劇場(2019年3月9日)

BBガールズのライブは先月で王道の形が完成した。初のアルバム「ラ・ブラバ/LA BRAVA」発売を経て、今日はそこに新曲が加わる感じだろう。そう思ってた。

しかし、BBガールズのプロデューサー冴沢͡鐘己さんが、曽我未知子さんとのラジオ「ムンサタ」で、「もうBBは前回・前々回である種の型が決まっていってます。そのうえでアルバム出ました。だから手の内はもう渡してるわけやんか。もうこれで全曲や、今。手札みんな見せてあんねん。そうすると、勝手に想像したときに『ああ、こうするんちゃうか』って思うし、『ああ、もう安心』みたいな。『知らん曲ないし』…と思うでしょ? 僕が関わる以上、そんな生ぬるいことを許すわけがない。めっちゃきっと『ウォーッ』ということを用意してますんで。めっちゃ楽しみにしていてください」と、大々的に予告された。

これで全く予測がつかなくなった。

先月のライブで終盤にやって盛りあがった曲を、全部最初にやってしまうのか。

前半はひたすらバラードだけを続けるとか。

最初と最後にアカペラで「Fai La Brava」を歌い、その後に別の曲もアカペラでやるというのはどうか。

いろいろ考えたが、これだと思うのが見つからないままライブ当日を迎えた。

 

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キーボードがいつもより真ん中寄りに感じる。カナさんのお誕生日月だからか、それは関係ないのか、そもそも真ん中だと感じるのが錯覚なのか。ステージの向かって右のモニターも、真ん中寄りに感じる。マイクスタンドは左端。これはやはり、「ガーディアン・エンジェル」が1曲目だ。アルバムもそういうイメージだし。

 

今年からのオープニングBGMが終わると、「Fai La Brava」のアルバム音源が流れる。

最後のたじさんの声「Fai La Brava」に続いて、アップテンポな曲が始まる。

カナさんが登場し、お辞儀をする。カナさんが先に一人で。やはりここから「ガーディアン・エンジェル」に入るのだろう。

頭上で手拍子しながらキーボードの前に移ったカナさんは、立ったまま指を2本にした左手をまっすぐ上げ、右手で高音のワンフレーズだけを弾く。イスに座ると、再び手拍子。もちろん客席もさっきから手拍子してる。カナさんが両手を鍵盤に乗せた頃、舞台の端にたじさんの姿が見える。カナさんが先程のフレーズを2度繰り返すと、たじさんが舞台の真ん中で軽く跳ねて歌い出す。いきなり二人の声が重なる。これが心地いい。

「アハー」というたじさんの強い声で勢いづく。かっこいい。さらにスキャットを低く高く。こういうのもたじさんのお得意。それも上手いのを見せるために付け足してるような感じが全くなく、音と一体となって曲の魅力を高めている。

最後は二人の声だけで終わる。このサビも、歌詞も好き。

「ガーディアン・エンジェル」ではなく、知らない曲だった。アルバムにも入っていない新曲で始めさせるのが、冴沢さんが予告したことだったのか。

めっちゃよかった。1曲目にぴったり。ライブの幕開けを飾るのにふさわしい曲が増えるのは大きい。

 

「人生はミラーボール」

2曲目に来たか。ここでもやはり盛りあがる。ライブの1曲目によく歌われる曲は2曲目にも合うと、僕は勝手に思っていて。野球の1番打者と2番打者を入れ代えても成功することがあるイメージで。やっぱりそうなのかな。当たり前かもしれないが。

たじさんは新しい髪型。前に行くほど長い。今まででいちばんいいと思う。

カナさんは後ろの結んだ部分を上げている。アルバムのジャケットの髪型だ。

衣装は二人とも、上が白で、下が前にボタンの並んだ青のスカート。アルバムタイトルの「ラ・ブラバ/LA BRAVA」がイタリア語なのにちなんで、さっきまでイタリアのクッキーを選んだりしてたからか、西ヨーロッパの女の子みたいに見える。

たじさんの声が伸びる。澄んでいる。二人とも楽しそうだ。

 

すぐに次の曲が始まる。

「それはもうウソじゃない!?」

ついに聴けた。アルバムに入ってる新曲。歌詞カードを見ながら聴き込んだ曲。歌も、“Maybe I LoveYou,Oh,No!!”も、コーラスも初めて生で聴けてるんだという感慨。

「恋でくたくたよ」も印象的だし、「シュビドゥビドゥビドゥバッパー」で二人が一瞬視線を交わしたり、名場面が多かった。これからもライブでずっと聴きたい。

 

短いMC。

「アルバムの実質レコ発ライブになりました」

自画自賛するくらいいいアルバム」「ウチらも大好きやもんね」

確かに、一人でも多くの方に聴いてほしい、BBガールズのファンでない方にも堂々とおすすめできるアルバムだ。

 

「離れてもそばにいて」

豪華な演奏の中、先月までは歌い上げる感じだったのが、今日のたじさんはやさしく歌う。笑顔も見せる。甘い雰囲気。

アメリカ映画のクラブのステージに立つ歌姫ではなく、部屋の中で歌う女性。この曲の幸せが伝わってきた。

 

拍手が鳴りやまないうちに「クランベリージャム」。アルバムでも間髪入れずに始まるのが快感なのだ。

曲もたじさんの歌もひたすらオシャレに。と思ってたらたまに見せる笑顔が印象的。カナさんのキーボードの彩りも素敵。

「one more jam」「one more love」も好き。後へ行くほどたじさんの歌い方のバリエーションが増える。

 

さらに間隔を詰めて拍手の最中から「ひらいたトランプ」

たじさんがスキャットから歌に入る。

カナさんのピアノのあの三音。本当に低くて響かせるのと、低めぐらいのがあるのだな。

2番の最後、「本物の愛を呼ぶの」の語尾を弱めにして震わせるたじさん。ため息のような「ハイ」から間奏へ。

1番、2番、3番の繰り返し。全部歌の終わらせ方が違うのだな。しっかりと、だけどさりげなく。プロの凄み。

 

拍手でカウントの最初が聴こえない中から、「恋してオムレツ」

カナさんの振り付け。1番の「ワ~」で、両手を開いて弧を描く。初めてだった先月よりコンパクトになったみたい。

2番の「ンー」では、右肩の上で両手を組む。定着してきた。

3番の「イェイ!」は、貴重な両手でのピースだった。ここは鍵盤から両手が離せないところのような気になってたけど、うれしい驚き。

最後はたじさんがキーボードに寄って、たじさんが右手を、カナさんが左手を、斜めに上げた。これも新しいやつ。いい終わり方ですね。

 

短いインターバルで衣装チェンジ。

「ラ・ブラバ/LA BRAVA」の裏ジャケットで見れるスカート。たじさんは赤、カナさんは緑が基調で、それぞれ2色になっている。上は白。カナさんは小さなリボンなど髪飾りもいっぱい付けて、さらにジャケットに近づけてきた。

 

MC。

 

カナさんのお誕生日。たくさんのプレゼント。

 

作家の我孫子武丸さんが、BBガールズのラジオ「まだまだGIRLでいいかしら」の大喜利コーナーにお題を提供し、番組を聴いて、賞も提供してくれた。

 

カラオケにBBガールズの曲が増えた。

「恋してオムレツ」もカラオケに入れてほしいと最初にお願いしたのは、去年2月の土曜パームトーン劇場の投稿コーナーだった。それが今週ついに実現。「恋してオムレツ」を含む4曲が増え、「ガーディアン・エンジェル」も復活し、全部で8曲歌える状態になった。

ただ、アルバム発売に合わせて全曲配信するという話もあったし、他の曲も是非お願いします。特に「平成ガール」「クランベリージャム」「苦い林檎酒」は絶対早く歌いたい。

カナさんとたじさんは「境界線はいらない」を入れてほしいという。

 

この土曜パームトーン劇場の集客を増やすという条件をクリアすれば、BBガールズは年末に京都ミューズホール(KYOTO MUSE)でライブができる。

これは実現してほしいな。

それに、別にそのためではなく、土曜パームトーン劇場のお客さんがさらに増えてほしい。本当にいいライブなので。

 

来月4月6日の土曜パームトーン劇場の後に、お花見をしたい。

これもMUSEの話とは別で、前々からの計画だったそう。

 

「眠れぬ夜」

オフコースのカバー。僕が初めて聴いたのは、西城秀樹のヒット曲としてだった。

今年に入って新スタイルのライブになってから、ユーミン中島みゆきの名カバーが2か月続いたが、それは一旦終わると冴沢さんがラジオで言ってた。それでも、男性曲のカバーとは意外。

それに、甲斐バンドオフコースのファン層はかぶらないと、かつてよく言われていたから、甲斐バンドをよく聴いてた冴沢さんがオフコースを選ぶのもちょっと意外。でも、そこは古今東西膨大な曲を覚えてカバーしてきたという冴沢さんだからこそですね。

カナさんのキーボードのみで、たじさんの歌、二人のハーモニー。シンプルに見える中に、詞の世界が浮かんでくる。

 

リズムが刻まれる。カナさんがキーボードを2音ずつ奏でる。……これはもしかして、あのギターの音を表現してるのでは……まだ違いがない、可能性あるぞ……おいおい、「きんぽうげ」あるぞ!……

「あなーたに抱かれるのは今夜かぎりね」

甲斐バンド!!のカバー「きんぽうげ」!!

カナさんのキーボードは、甲斐よしひろならマイクスタンドを蹴り上げる歌入り前に、音を伸ばさない。前奏のまま入る感じ。

たじさんは例えば、「抱かれる」の「る」を伸ばさない。原曲を尊重したうえで、ごくわずかにだけ自身の譜割りを見せる。

甲斐のライブの定番曲で、ライブバージョンは激しくて盛りあがるのだが、BBガールズの演奏は発表当時の静かめでゆっくりの「きんぽうげ」の方に近い。といっても、近いというのはテンポや静かさのことで、アレンジは全く違う。夜の雰囲気で、妖しさもあって、リスペクトも感じられる。見事なカバーだ。

僕はよろこびで顔がほころぶ。もしももしもBBガールズが甲斐のカバーをしてくれることがあったら、イントロで大声をあげてしまうだろうと思っていたが、実際に目の当たりにすると、声など全く出なかった。出せなかった。

めちゃくちゃうれしいと感じた次の瞬間、もう泣けてきた。自分の好きな2大アーティストが。こんなん夢やもんな。

でも、泣いてはいられない。客席で「きんぽうげ」を知ってるのは自分だけかもしれない。よろこびを表して盛りたてたい。他の人に聞こえない程度に口ずさむが、やはり泣けて無理だ。

演奏が少しずつ「きんぽうげ」らしさを増していく。「くーらやみの中 抱ーきーしめても おーまーえの」と、カナさんのコーラスがかぶさる。「こーころはーーー逃ーげーてーくー」と歌い終えたたじさん。甲斐が身体を翻すところで、両手でマイクスタンドを持ち身体を少し沈めて見せる。

間奏がまたかっこいい。ギターの音を描きながらピアノらしさもあって、しっかり「きんぽうげ」で。

「口でえー言うほ ど つ め た い」の後半を1音ずつ強めるようにして、若干声をかすれさせるたじさんの歌い方もいい。

さあ、転調来るぞ。2回目の間奏がさらにかっこいい。素晴らしい。

サビから続く最後の部分、甲斐が半分ぐらい客席にマイクを向けるところ。たじさんは全部自分で歌う。このアレンジなら当然だ。

「アアウアアーイ」「イェーィ…」

後奏のたじさんの声。これが出るということは、甲斐のライブバージョンも聴かれたのだと思う。それとも、「ああー」だけで終わる原曲を聴いただけで、アレンジに合わせて自由に発声されたのだろうか。

ああ、本当にめっちゃよかった。

 

冴沢さんが言ってた「めっちゃきっと『ウォーッ』ということ」というのは、これだったのか。最初の3曲中2曲新曲をやらせて緊張感を持たせるということかと、序盤を見て思ってた。

先月のライブが素晴らしくて、特に終盤、バラードの後の激しい4曲の畳み掛けが最高で、僕は「甲斐バンドのライブで言えば、『氷のくちびる』『ポップコーンをほおばって』『翼あるもの』『漂泊者(アウトロー)』が全部揃った感じ」とツイートした。また、カバーについては「BBガールズで『きんぽうげ』やってほしい!」とも書いた。

だから、冴沢さんの発言を聴いて一瞬、「本当に『きんぽうげ』をやってくれたら、めちゃくちゃうれしいな」という思いが頭をかすめた。でも、「そんなのは夢だ。そこまでぜいたくを望んではいけない」と、すぐに打ち消した。まさか現実になるなんて。

似合うと思ったからこそ書いたのだけど、BBガールズの「きんぽうげ」、バッチリだった。いや、想像以上だ。ここまでのアレンジはとても思い描けない。

 

BBガールズの二人に、拳を上げて感謝を示したい。だが、間もなくステージが赤く染まった。

「苦い林檎酒」

僕に「きんぽうげ」の衝撃が残っているからか、カナさんの演奏にもたじさんが歌う詞にも「きんぽうげ」との関わりを感じる。「どれほど抱かれても ほんとは 愛は見えもしないのね」って、「きんぽうげ」のサビを女性の視点から言ってるようにも受け取れる気がして。

間奏。カナさんのソロ。たじさんはカナさんを両手で指差し、自分は左へよける。間奏でバックのメンバーを目立たせるボーカリストって好き。1月のときは、たじさん、後ろを向いていたはず。

後奏のたじさんの声が響く。この効果も印象に残る。

 

「透明な水」

照明は水玉と水しぶき。

「あなたの鼓動にも」「キラキラ溶けあって」「あなたをこんなにも」サビの終わりの方、歌に沿って下がるピアノが今日は特に胸に来た。

 

バラードの後は何も言わず、お辞儀だけするのが最近のたじさんのスタイル。

だが、ここではスタンドからマイクを抜き、「ありがとうございます」と言ってから、「最後までみんな、盛りあがる準備はできているか」と呼び掛ける。

観客がそれに応え、たじさんは左手の拳を上げる。

「風のファンタジスタ

「苦い林檎酒」「透明な水」「風のファンタジスタ」と、アルバムの曲順通りに3曲続くのは今日初めてだ。

励ましてくれる歌。

カナさんが客席を指差す時、「『きんぽうげ』をやってもらったうえに、もし自分が指されたらもったいない」という気持ちになった。

たじさんが最後のサビの語尾をずっと伸ばしていく。

 

「平成ガール」

たじさんが歌入りまでに、今月も激しいギタリストの名前を呼ぶ。「たかし!」

もうライブ終盤に欠かせない。燃えるのだ。

カナさんは「ギターの曲にしたくて、キーボードが目立たなくなった」と言ってたけど、「平成ガール」を飾るキーボードも僕は好き。

 

「ガーディアン・エンジェル」

カナさんが、たじさんが、頭上で手を打つ。たじさんが「カナ!」と言って、カナさんの前奏が始まる。二人ともがステージに出ているからできること。終盤の「ガーディアン・エンジェル」もめっちゃいいのだ。

たじさんの歌声が強い。カナさんも楽しそう。

カナさんのソロを見ていて、去年3月の土曜パームトーン劇場のことを思い出した。たじさんからお誕生日祝いの手紙を読んでもらって、カナさんは泣いていた。今年は「きんぽうげ」で僕が泣かされるとは。

 

リズム。たじさんがカウントを示す。新しいイントロ。

「まだまだGIRLでいいかしら」

カナさんはもうキーボードの上で踊っている。そう見えるほどの躍動感。

「ハッピーバースデー、嘉奈子!」とたじさん。拍手と祝福の声。

始まり方から終わり方まで、今日もこの曲最高だ。

 

BBガールズがステージを去る。

熱く速い手拍子。僕はもうみんなと合わす気などない。速く強く手を打ち続けて、感激を表明したい。

 

戻ってきた二人は、白いTシャツ姿。たじさんが描いたBBガールズのイラストが虹に囲まれていて、「BBgirls」「LA BRAVA」「PALMTONE RECORDS」のロゴも入っている。

お誕生日に寄せるカナさんの思い。

年末、ミューズホールで、バンドでライブがしたいという目標。

 

アンコールは2曲あるという。僕には初めてのことだ。

 

「陽だまりの鳥」

なくて意外だった曲。聴けてうれしい。

たじさんの切ない語尾。強い声。つやつやした伸び。

低いところから上がっていくサビの繰り返し。カナさんの高音のコーラスがまた新たな命を吹き込んでいく。

 

前奏に乗せた「こんなにみんなに愛されるユニットになりました」といううれしい言葉から。

「境界線はいらない」

終盤は客席にマイクを向ける。たかしさんとkajiさんのコーラスも聴こえた。

 

二人の姿が見えなくなると、「Fai La Brava(reprise)」が流れる。

最後の最後まで幸せ。終わってから何度も拍手が起きたことが、今日のライブのよさを物語ってる。

 

今年から進化したBBガールズのライブは、充実したアルバムとその中の新曲も得て、さらに素晴らしくなった。これだけ期待しても毎月それを超えてくれるなんて、すごい。

結局、アルバムは全曲やってくれたのだな。発売後初のライブにふさわしい。

1曲目に歌われたのは、後で教えていただいたところによると、TIME FOR LOVEの以前のアルバムでたじさんがボーカルを務めた「もっとオールドファッションド」という曲だそうだ。これからもBBガールズでやってほしい。

そして、何といっても「きんぽうげ」!

こんなにうれしいことはない。35年ほどで100回近くはライブに行ってる甲斐の曲を、BBガールズがカバーしてくれたのだから、僕の感動はきっと他の方の想像より何倍も強烈だ。

本当に本当にありがとうございました!

今月も最高だった!

来月は4月6日!

 

 

2019年3月9日 event space PALMTONE

 

もっとオールドファッションド

人生はミラーボール

それはウソじゃない!?

離れてもそばにいて

クランベリージャム

ひらいたトランプ

恋してオムレツ

眠れぬ夜

きんぽうげ

苦い林檎酒

透明な水

風のファンタジスタ

平成ガール

ガーディアン・エンジェル

まだまだGIRLでいいかしら

 

陽だまりの鳥

境界線はいらない

 

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